演題

PJ6-3

片側肝動脈浸潤を伴う膵頭部領域癌の切除適応についての検討

[演者] 水井 崇浩:1
[著者] 江崎 稔:1, 奈良 聡:1, 岸 庸二:1, 岩崎 寿光:1, 島田 和明:1
1:国立がん研究センター中央病院 肝胆膵外科

【背景・目的】肝動脈周囲神経叢に浸潤を伴う膵頭部領域癌は一般的に切除適応がない.肝動脈に破格を認め,2本の肝動脈のうち片側肝動脈のみに浸潤を伴う場合に,切除適応があるかどうか,術前に動脈塞栓を必要とするかどうかはまとまった報告がなく,当科での経験を検討し明らかにする.【対象・方法】当科で2004年1月から2016年12月までに手術を施行し,肝動脈に破格を認め,片側肝動脈浸潤を伴う膵頭部領域癌8例を対象として,手術成績や予後について後方視的に検討した.【結果】年齢は49歳から81歳で中央値65.5歳,性別は男性4例,女性4例であった.術前画像診断では上腸間膜動脈から分岐した右肝動脈に浸潤を疑う症例が5例,胃十二指腸動脈から分岐した右肝動脈に浸潤を疑う症例が1例,上腸間膜動脈から分岐した胃十二指腸動脈と左肝動脈に浸潤を疑う症例が1例,左胃動脈から左肝動脈が分岐しており,総肝動脈に浸潤を疑う症例が1例であった.7例は術前に浸潤側の肝動脈塞栓を施行し,1例は術前に多発肝膿瘍を認めたため,術前肝動脈塞栓は回避し,肝動脈再建を選択した.塞栓直後の血管造影では全例で対側動脈から塞栓側への肝内側副血行路が確認され,動脈塞栓に伴う合併症は認めなかった.術式は1例で腹膜播種を認めたため,バイパス術となったが,残りの7例は片側肝動脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除を行い,R0切除となった.門脈合併切除再建は4例で施行した.術後合併症はClavien-Dindo分類GradeⅢa以上は2例で,1例は胆管空腸吻合部周囲,1例は膵空腸吻合部周囲に膿瘍形成を認め,それぞれ経皮的穿刺ドレナージ術にて軽快した.全例術前診断は膵頭部癌であったが,最終病理結果は膵癌が5例,強い膵浸潤を伴った遠位胆管癌と十二指腸癌が1例ずつであった.リンパ節転移は3例に認めた.切除可能であった7例の術後生存期間は1例は術後1か月で生存しているが,残りの6例は原病死しており,それぞれ6,10,14,15,15,120か月であり,中央値は14.5か月であった.【結語】片側肝動脈浸潤を伴う膵頭部領域癌に対して片側肝動脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除を施行することは,自験例ではR0切除が達成できたとしても手術療法の効果は決して高くなく,切除適応については慎重に検討する必要がある.
詳細検索