演題

PJ6-2

BR-PVを伴う膵頭部癌に対する門脈合併切除の意義

[演者] 旭吉 雅秀:1
[著者] 七島 篤志:1, 石井 光寿:1, 和田 敬:1, 土持 有貴:1, 濵田 剛臣:1, 矢野 公一:1, 今村 直哉:1, 藤井 義郎:1
1:宮崎大学附属病院 肝胆膵外科

【はじめに】膵癌に対するR0を目的とした門脈合併切除術は安全に施行できるようになり,当科ではこれまで切除再建可能な門脈浸潤症例は全てsurgery firstの方針としていた.【目的】膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術における門脈合併切除術について,その有用性と安全性について検討する.【対象・方法】2005年から2014年までの10年間で膵頭十二指腸切除術を施行した膵頭部癌102例中,IPMCを除外した膵管癌の93例を対象とした.膵癌取扱い規約第7版の新たな切除可能性分類の定義に沿って,門脈浸潤がないかあっても180度未満のresectable症例 (R群) と門脈浸潤は180度以上のborderline resectable症例 (BR-PV群) とで生存率や予後因子などを検討した.また門脈合併切除再建術の安全性などを手術時間や出血量,術後合併症の発生率などで検討した.【結果】全93例中の21例 (22.6%) が術前の腹部造影CT検査でBR-PVと診断された.R群の中には腫瘍の門脈への浸潤が180未満の症例が14例あり,これを含む35例 (37.6%) で門脈合併切除を併施しており,そのうち26例 (74.3%) で病理学的な浸潤を認めた.門脈合併切除再建に要した時間は平均22.5分で切除長は平均24.6 mmであった.門脈を合併切除した群で手術時間が延長し (717分 vs. 603分,p < 0.0001 ),出血量が多くなっていた (2380 ml vs. 1425 ml,p = 0.0001) が,術後合併症の発生率に差はなかった.BR-PV群はR群と比較して腫瘍径が大きく (34.9 mm vs. 29.6 mm,p = 0.0382),組織学的に神経叢浸潤を認めた (81.0% vs. 37.5%,p = 0.0003).R0切除率は両群で差がないもののR群と比較してBR-PV群で有意差をもって全生存率が低下しており (p = 0.0313) ,局所再発による原病死を多く認めた.【まとめ】門脈合併切除再建に伴う合併症の増加は認めなかった.BR-PV群ではR群と比較して全生存率が低下していた.【結語】R0を目的とした門脈合併切除再建は安全に施行可能であるが,BR-PV膵癌症例は根治切除が可能であってもsurgery firstでは長期予後が期待できない可能性が示唆され,個々に応じた治療方針を決定する必要があるものと思われた.
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