演題

PJ6-1

BR-PV膵頭部癌に対する手術治療成績

[演者] 大木 克久:1
[著者] 山本 有祐:1, 杉浦 禎一:1, 岡村 行泰:1, 伊藤 貴明:1, 蘆田 良:1, 絹笠 祐介:2, 坂東 悦郎:2, 寺島 雅典:2, 上坂 克彦:1
1:静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

【目的】Borderline resectable膵癌(BR膵癌)は門脈系と動脈系への浸潤により細分されるが,門脈系(SMV/PV)への浸潤のみを認めるBR-PV膵癌は,門脈合併切除によりR0切除が可能であり,BR膵癌として扱うべきか議論の余地がある.当院では門脈浸潤のみを認める膵頭部癌に対しては原則surgery firstの方針で臨んでおり,今回BR-PV膵頭部癌に対する手術成績を検討した.【方法】2012年10月から2014年12月までに,当院で術前治療を行わず膵頭十二指腸切除を施行したUICC T3膵頭部癌(浸潤性膵管癌)299例を対象とした(動脈浸潤例を除く).術前MDCTでSMV/PVに腫瘍の接触がないものをR群,180度未満の接触・浸潤を認めるものをR-PV群,180度以上の接触・浸潤を認めるものをBR-PV群とした.これら3群間で臨床病理学的因子及び術後長期成績を比較検討し,予後因子の解析を行った.【結果】門脈合併切除は142例(47%)に施行され,術後在院死亡は2例(0.7%)であった.R群は141例(47%),R-PV群は119例(40%),BR-PV群は39例(13%)であった.各群の門脈合併切除の頻度は7.0,79,97%,組織学的門脈浸潤の頻度は1.4,51,74%,R0切除率は81,81,72%であった.R群は他の2群に比し膵外神経叢浸潤(PL)の頻度が有意に低かった(26,50,51%)が,リンパ節転移の頻度及び補助化学療法の有無は3群間で有意差を認めなかった.各群の3年生存率は43.8,39.1,36.2%,5年生存率は32.3,24.0,23.3%,生存期間中央値(MST)は29.8,21.0,18.8か月であり,R群とR-PV群間には有意差を認めたが(p=0.042),R-PV群とBR-PV群間には有意差を認めなかった(p=0.807).組織学的門脈浸潤を認めなかった207例と門脈浸潤を認めた92例の比較では,生存期間に有意差を認めなかった(MST 27.4 vs 21.5か月,p=0.176).多変量解析では,リンパ節転移陽性(HR=2.192,p<0.001),術後補助化学療法なし(HR=1.754,p<0.001),年齢70歳以上(HR=1.440,p=0.019),PL陽性(HR=1.398,p=0.037)が独立した予後因子であった.【結論】術前CTにおける腫瘍とSMV/PVとの接触・浸潤角度及び組織学的門脈浸潤の有無は,生存転帰との有意な関連を認めなかった.画像上門脈系への浸潤が疑われる膵頭部癌に対しては,積極的に門脈合併切除を行い断端陰性を得ることで,予後を改善しうる可能性が示唆された.
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