演題

PJ5-6

膵癌に対する審査腹腔鏡適応基準の検討

[演者] 大庭 篤志:1
[著者] 井上 陽介:1, 川勝 章司:1, 入江 彰一:1, 武田 良祝:1, 三瀬 祥弘:1, 石沢 武彰:1, 伊藤 寛倫:1, 高橋 祐:1, 齋浦 明夫:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

[背景]
膵癌に対する治療成績は,近年,手術治療と化学療法の進歩により着実に向上している.一方で術前に切除可能膵癌または切除可能境界膵癌と診断されていても,開腹所見で腹膜播種や微小肝転移,局所浸潤等の理由で試験開腹となる非切除(Palliative surgery,以後PS)症例や根治切除後6ヵ月以内の再発をきたす「膵癌切除後早期再発」(Early recurrence,以後ER)症例をしばしば経験する.PS,ERは膵癌の悪性度の高さの結果であり,これらの症例は手術治療の恩恵に乏しいと考えられ,早期に化学療法導入あるいは継続することが望ましい.NCCNガイドラインでは高リスク患者に対しては審査腹腔鏡を行い追加の診断情報を得ることで,不要な開腹手術を回避することが推奨されている.今回我々は,PS,ER症例の臨床データを解析し,PS,ER症例を切除前に拾い上げる審査腹腔鏡適格基準を検証する.
[方法]
2008年1月から2015年12月に当科で膵癌に対し,根治的膵切除を企図して手術が行われた連続 501症例を根治切除後6か月以上無再発(Non-ER)群,ER群,PS群に分類し,各群の術後生存期間や臨床病理学的因子を後方視的に比較検討した.
[結果]
501症例の内訳は,Non-ER群 が357症例,ER群が80症例,PS群が64症例であった.各群の生存期間中央値(MST)はNon-ER群が1058日,ER群が303日,PS群が395日であり,NR群はPS群より有意に予後が良く(p < 0.001),ER群は根治切除企図にもかかわらずPS群よりも予後が悪い傾向にあった(p = 0.063).ER+PS群のMSTは324日でNon-ER群より有意に予後が悪かった(p < 0.001)(観察期間中央値[range] 451日[17日 - 2732日]).ER+PS群拾い上げのための審査腹腔鏡の適応として,「術前CA19-9≧300 U/mlかつ画像腫瘍径≧30mm」を適格基準とすると,該当症例は501症例中159症例(31.7%),感度 46.5%,特異度74.2%,正診率66.3%で最も妥当と考えられた.
[結語]
ER群はPS群と同等あるいはそれ以上に生存予後が悪く,切除前に同定するために診断法の確立が急務である.現在,「術前CA19-9≧300U/mlかつ画像腫瘍径≧30mm」を適格基準とし,新たな審査腹腔鏡臨床試験を計画している.
詳細検索