演題

PJ5-2

5-アミノレブリン酸を用いた光線力学的診断が有効であった下大静脈へ直接浸潤を来した膵頭部癌の1 例

[演者] 水谷 融:1
[著者] 村山 康利:1, 生駒 久視:1, 森村 玲:1, 栗生 宜明:1, 中西 正芳:1, 市川 大輔:1, 藤原 斉:1, 岡本 和真:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学附属病院 消化器外科

【はじめに】膵癌手術においては癌遺残のない切除術(R0)をすることが絶対条件である.しかしながら,手術時所見で R0であっても,病理診断でR1と診断されるケースもある.そこで,術中迅速病理検査で断端を評価する必要がある. 一方,5-aminolevulinic acid(5-ALA)は,ヘムの前駆物質である内因性のアミノ酸である.5-ALAの代謝産物である蛍光 物質のprotoporphyrinIX(PpIX)は癌に特異的に集積する.泌尿器科・頭頚部領域で,光力学診断(Photodynamic Diagnosis: PDD)は診断率の向上とそれに伴う残存腫瘍の減少による非再発率の向上が明らかになってきており,本邦でも実用化されている.これまで我々は,胃癌と大腸癌におけるリンパ節転移診断や腹膜播種診断に5-ALAが有用である事を報告してきた.今回,5-ALAを使用し,膵癌手術において術中R1と診断できた症例を経験したので報告する.【症例】73歳 男性,膵頭部癌の診断で当科紹介.膵頭十二指腸切除術予定で,インフォームドコンセントを得て5-ALA(1000mg)を術前に経口投与した.開腹所見で腫瘍は下大静脈(IVC)との境界が不明瞭で,炎症性の癒着か腫瘍の浸潤かは判定困難であった.IVCとその背側のリンパ節から腫瘍を剥離し,IVCとリンパ節の剥離面を蛍光内視鏡を用いて観察するとPpIXの赤い蛍光を確認できた.剥離面の5-ALA陽性部位を術中迅速病理へ提出したところadenocarcinomaの診断を得た.5- ALAを用いた蛍光診断法により,術中剥離面の癌細胞の遺残を診断できる可能性が示唆された.【結語】今回我々は,IVCへ浸潤を認めた膵癌に対して,5-ALAを用いた蛍光診断により,剥離面での癌遺残を診断できた症例を経験したので報告する.
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