演題

PJ4-5

膵頭十二指腸切除後の膵腸吻合と膵胃吻合における,CT-Volumetryを用いた残膵萎縮の評価と脂肪肝発症の関連

[演者] 山村 謙介:1
[著者] 橋本 大輔:1, 梅崎 直樹:1, 北野 雄希:1, 宮田 辰徳:1, 有馬 浩太:1, 中川 茂樹:1, 山下 洋市:1, 近本 亮:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

【はじめに】膵頭十二指腸切除(PD)後は膵胃または膵腸吻合が行なわれ,短期成績については多くの報告があるが長期成績に関する報告は少ない.また,PD後には脂肪肝を発症することがある.これは膵内外分泌機能の低下や消化吸収不良に伴う栄養障害が関与しているとされるが,再建法との関連は不明である.今回我々は,PD後の残膵量をCT-Volumetryを用いて測定することで,膵胃および膵腸吻合における術後の膵の委縮について評価し,脂肪肝の発生との関連について検討した.
【対象と方法】2004年から2013年までで当院で浸潤性膵管癌に対して膵頭十二指腸切除術(PD)を施行した56例を対象とした.Synapse Vincentを用いて残膵のVolumetryを行い術直後(術後約1週間),3ヶ月,1年目の容積を測定した.術後3ヶ月目と術後1年目の残膵量を術直後と比較し,膵胃吻合と膵腸吻合で膵萎縮の程度を比較した.脂肪肝は単純CTで肝の5区域を測定し,平均値40HU以下を脂肪肝と定義した(術後3ヶ月,1年目を評価).
【結果】術直後の残膵量(中央値)は膵胃群/膵腸群=14cm3(8-42)/15.5 cm3(6-42)で両群間に有意差は認めなかった(p=0.64).術後3ヶ月の残膵率(中央値)は膵胃群/膵腸群=59.1%(44-100)/82.2%(44.4-100)で膵胃群の方が有意に残膵の萎縮を認めた(p=0.005).術後1年目の残膵率も同様に44.4%(26.2-92.9)/66.7%(47.6-92.3)で,膵胃群で有意に残膵の萎縮を認めた(p<0.05).脂肪肝は全症例のうち29例(51.8%)に認めた.内訳は膵胃群/膵腸群=22例/7例で,膵胃群で有意に多かった(p=0.028).術後3ヶ月の残膵率と術後3ヶ月の平均CT値には正の相関がみられ(ρ=0.33, p=0.028),術後3ヶ月の残膵率が小さい症例は術後3ヶ月目の平均CT値が小さい傾向にあり,つまり脂肪肝発症例が多かった.両再建法のグループ間で,無再発生存期間(p=0.20)および全生存期間(p=0.70)に有意差は認めなかった.
【結語】膵胃吻合は膵腸吻合に比べて残膵がより萎縮し,脂肪肝の発生に関与していることが示唆された.
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