演題

PJ4-1

術前・術中における背側膵動脈の走行についての検討~PDにおけるartery firstのために必要な第3の動脈~

[演者] 熊谷 祐:1
[著者] 藤岡 秀一:1, 北村 博顕:1, 三澤 健之:1, 秋葉 直志:1, 矢永 勝彦:2
1:東京慈恵会医科大学附属柏病院 外科, 2:東京慈恵会医科大学附属病院 外科学講座 消化器外科

【目的】当科では原則的に膵頭十二指腸切除術(以下PD)や膵全摘術(以下TP)の術前検査として,正中弓状靭帯圧迫症候群や腫瘍の動脈浸潤等の評価目的に血管造影検査を施行している.また近年,PDにおいて胃十二指腸動脈(以下GDA)の処理とともに下膵十二指腸動脈(以下IPDA)の先行処理を行い膵検体からのうっ血を予防するという手術手技が確立しつつある.しかし膵頭神経叢経由で膵の栄養血管となり得る背側膵動脈(以下DPA)の術中処理については既存の報告では曖昧であり,同血管の先行処理が膵うっ血の予防に必要である場合もあると考え,当科では積極的にDPAを術前評価しGDA・IPDAだけでなくDPAも意識して先行処理を行っている.【方法】当科にて2015年5月から2016年11月までの期間に術前血管造影を施行したPDとTPの36例(男:女=23:13,平均70.5歳)につき,術前画像でのDPAの解剖学的な分岐形態を評価し,手術所見との対比を行なった.【結果】術前血管造影検査にてDPAの同定が可能であったのは35例(97%)であり,同定不能であった1例は術中に同定可能であった.術前画像及び術中所見からDPAの分岐形態は総肝動脈(以下CHA)から分岐するものが16例(44%),同様に腹腔動脈が11例(31%),上腸間膜動脈が3例(8%),脾動脈が3例(8%),右肝動脈もしくは転位右肝動脈が3例(8%)であった.13例(36%)では膵切除の前に膵頭神経叢に流入するDPAを先行処理することが可能であり,13例すべてがCHAからの分岐形態をとっていた.今回の検討ではDPA先行処理した群と先行処理していない群間での出血量(p=0.779)や手術時間(p=0.483)に有意差を認めなかった.【結論】今回の検討では有意差を認めなかったが,DPAの分岐形態を理解しPDやTPを行う際にIPDAやGDAの他にDPAも意識して先行処理をしていくことが,今後術中出血の更なる低下に寄与する可能性があると考える.
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