演題

術前筋肉量は胃癌術後補助療法開始までの期間に影響する

[演者] 山田 卓司:1
[著者] 小竹 将:1, 芹澤 朗子:1, 天野 久仁彦:1, 谷口 清章:1, 瀬下 明良:1, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学病院 消化器外科

【目的】胃癌患者では術後の体重減少が術後補助療法に影響する.術後の栄養補助剤投与による介入試験が試みられているが,有用性は不明確である.このことから術前の栄養状態がより重要であると推察される.栄養指標として,以前は体重や血液生化学データが用いられたが,近年はサルコペニアの観点から筋肉量や脂肪量が注目されている.今回,胃癌患者の術前筋肉量と術後補助療法開始までの期間との関係につき統計学的に検討を行った.【方法】2011年9月から2016年9月に胃癌に対し手術施行後,術後補助療法が必要となるステージIIおよびIIIと診断された66例(男性49例,女性17例)を対象とした.男女それぞれにつき,術後6週間以内に補助療法を開始した群を早期群,6週間以上要した群を遅延群とし,術前栄養に関連した評価項目との関係を統計学的に検討した.評価項目としてはBMI,体脂肪率,四肢筋肉量/身長の二乗(以下:AMI),全身筋肉量/身長の二乗(以下:SMI)併存疾患の有無,小野寺指数とした.2014年に作成されたアジアのサルコペニア診断基準では,四肢の筋肉量のみを評価するAMIが評価項目に採用されている.一方で欧州のサルコペニア診断基準では全身の筋肉量を評価するSMIが採用されている.当教室では以前からこの両者を測定してきており,評価項目に加えた.【成績】男性では早期群で有意にSMIが高値であった(p=0.05).女性では早期群で有意にBMIが高値であった(p=0.045).その他の項目はいずれも有意差を認めなかった.BMIとSMIの相関分析を行ったところ,男性は正相関を,女性は強い正相関を示した.【結論】以上の結果から筋肉量が大きいことが術後栄養に有利に働き,術後補助療法の早期開始を可能にしたと考えられた.また今回,筋肉量の評価には,四肢筋肉量よりも全身筋肉量のほうが有用であった.これらについて文献的考察を含め報告する.
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