演題

術前Visceral fat area(VFA)と腹腔鏡下幽門側胃切除術の周術期成績の関係

[演者] 関矢 まり:1
[著者] 武田 茂:1, 飯田 通久:1, 兼清 信介:1, 坂本 和彦:1, 鈴木 伸明:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:1,3, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 先端分子応用医科学講座(消化器・腫瘍外科学), 2:山口大学医学部附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部先端がん治療開発学

目的 近年の肥満率の上昇とともに,肥満患者に対して腹部手術を行う機会も増加している.胃癌に対する開腹手術においては,腹部CT測定法による内臓脂肪面積(VFA)が腹腔内感染と縫合不全に強い相関があることが報告されてきた.今回われわれは,LADGに関してVFAと周術期成績の関係について検討した.
対象・方法 2003年6月から2016年11月までに当科で胃癌に対してLADGを施行した334例を対象とした.VFAは術前CTの臍周囲の断面をFatRateを用いて測定し,VFA100㎝2未満を低VFA群,VFA100㎝2以上を高VFA群とした.VFAと手術時間,出血量,術後CRP,術後合併症発生率の関係について,retrospectiveに解析した.
結果 低VFA群は男性88例,女性80例で高VFA群は男性133例,女性33例であった.手術時間は低VFA群で293分,高VFA群で335分と高VFA群で有意に延長した(p<0.05).出血量は低VFA群で136ml,高VFA群で293mlと高VFA群で有意に多かった(p<0.05).また,術後1,3,7病日のCRP(mg/dl)は,低VFA群5.2,6.8,2.3,高VFA群7.0,12.6,4.3といずれも高VFA群で有意に高かった(p<0.05).腹腔内感染性合併症(縫合不全,膵液瘻,腹腔内膿瘍)発生率は低VFA群1件(0.63%),高VFA群11件(7.3%)で高VFA群に有意に多かった(p<0.05).多変量解析による腹腔内感染性合併症リスク因子の検討では性別,年齢,BMI群,VFA群,手術時間群,出血量,郭清度の共変数の中で,高VFA群(オッズ比;10.0, 95%CI;1.25-79.5)が独立危険因子であった.また5年生存率は低VFA群95.2%,高VFA群93.5%で予後に差を認めなかった.
結論 VFAの値による胃がん術後の予後について差はなかったものの,高VFA群におけるLADGは低VFA群と比べて,手術時間の延長,出血量の増加,炎症反応高値,感染合併症の増加が認められた.また,高FVAは腹腔内感染性合併症のリスク因子であり,術前VFAの計測は,手術難易度の予想や腹腔内感染性合併症の予測に有用であると考えられた.
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