演題

胃癌サルコペニア症例における術前低栄養に関する検討

[演者] 饗場 正明:1
[著者] 坂元 一郎:1, 清水 尚:1, 塚越 浩志:1, 平井 圭太郎:1, 沼賀 有紀:1, 宮前 洋平:1, 佐藤 泰輔:1, 田中 俊行:1, 小川 哲史:1
1:高崎総合医療センター 外科

目的:胃癌サルコペニア症例で低栄養状態がどのように関与しているか検討した.
対象:2014.7月~2016.10月までに当科で手術を施行した胃癌患者で術前に体組成検査を施行した140例のうちAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)による基準に適合したサルコペニア症例27例(16.1%).平均年齢79.2±4.4歳.男性16例,女性11例.
方法:術前低栄養状態は,①血清アルブミン値 <3.5g/dl,②血清プレアルブミン値 <21.0mg/dl,③BMI <18.5 kg/m2,④小野寺らのprognostic nutritional index (PNI) <45,⑤controlling nutritional status score (CONUT score) ≧3で評価し,5項目のうち2項目以上満たした症例を低栄養群SM群(n=9),1項目以下を非低栄養群SS群(n=18)とし2群に分けた.進行度(St),術前呼吸機能検査(FEV1%, %VC),体脂肪率,術後合併症(Clavien-Dindo分類でGrade II以上),術後在院日数を比較検討した.
結果:平均年齢・性別は,SM群:77.7±5.9歳,男性5女性4,SS群:79.8±3.6歳,男性11女性7で両群間に有意差はなかった.低栄養を満たした項目はSM群:3.3±1.0項目,SS群:0.4±0.5項目で,①③④⑤において両群間で有意差を認めた.術前呼吸機能検査は両群ともほとんどの症例が正常範囲で有意差はなかった.St I・II:St III・IVはSM群で4例:5例,SS群で17例:1例で,SM群で有意に進行した癌の頻度が高かった.体脂肪率(%)は男性(標準範囲 18.0-28.0):SM群24.8±3.5,SS群31.4±7.8,女性(標準範囲 10.0-20.0):SM群30.5±6.9,SS群35.1±11.4であった.両群間に有意差はなかったが,BMI>25かつ体脂肪率が高値(男性:>28.0,女性:>20.0)のいわゆるサルコペニア肥満と考えられる症例はSM群:0例,SS群:5例で認められ,SS群で有意に多く認められた.手術の種類は両群間で有意な偏りはなかった.合併症はSM群で2例,SS群で6例に認めた.
術後在院日数(中央値)は,SM群で8日(6-93日),SS群で8.5日(7-94日)と有意差はなかったが,両群とも合併症を併発すると著明に延長した.
結語:胃癌手術患者の16.1%がサルコペニア症例で,このうち,33%が低栄養を伴っていた.低栄養を伴うサルコペニア症例は病期の進んだ症例に多くみられ,低栄養を伴わないサルコペニア症例ではサルコペニア肥満を示す症例が多く認められた.術後合併症の頻度は両群で有意差を認めなかったが,合併症を併発すると両群とも術後在院期間が著明に延長した.
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