演題

根治切除胃癌症例における予後危険因子としての術前サルコペニアの意義

[演者] 佐藤 勉:1,2
[著者] 前澤 幸男:1,2, 神尾 一樹:1,2, 中島 哲史:2, 青山 徹:1,2, 山田 貴允:1,2, 利野 靖:1, 尾形 高士:2, 長 晴彦:2, 吉川 貴己:1,2
1:横浜市立大学医学部 外科治療学, 2:神奈川県立がんセンター 消化器外科

【背景】近年,様々な癌腫で,術前サルコペニアが予後と関連すると報告されている.しかしながら,胃癌患者における術前サルコペニアが予後の危険因子であるか否かは明らかではない.
【対象・方法】2011年6月から2013年5月に胃癌の診断で神奈川県立がんセンターでR0手術を施行した256例.pStageIV, NAC症例は除外した.術前に,BIA法により筋肉量を,握力計により筋力(HGS)を測定した.筋肉量は身長の2乗で除した値(kg/m2)を骨格筋量指標(SMI)と定義した.筋力,SMIのカットオフ値を性別毎下位20%値とした.術前のHGS低下やSMI低下が再発の危険因子となるか否かを単変量/多変量Cox回帰分析により検討した.また,Stage別(I:160例,II&III:96例)の生存解析も行った.
【結果】256例の平均年齢は66歳,男:女=168:88.観察期間中央値は1079日(36-1639日).予後危険因子の単変量解析では,70歳以上,術後補助療法あり,pT,pN,組織型,腫瘍径,胃全摘,低SMI,低HGSが有意な危険因子となった.多変量解析では,pT(HR 1.93, 1.289-2.892, p=0.001),低SMI(HR2.807, 1.092-7.22,p=0.032)が独立した予後危険因子として選択された.SMI低下例は,SMI非低下例に比し,Stage II&III症例で(n=16 vs n=80)有意に予後不良であり(34.7% vs 65.1%, p=0.005),Stage I (n=30 vs n=130)においても予後不良となる傾向を認めた(88.9%vs 97.7%,p=0.056).
【結語】Stage I-III胃癌患者における術前の「筋肉量」低下は,独立した予後危険因子であった.一方,「筋力」は,独立した危険因子とはならなかった.胃癌症例(特にStageII&III症例)では,術前のサルコペニアの評価が,短期/長期予後の予測に重要である可能性が示唆された.
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