演題

胃上部癌・食道胃接合部癌の切除症例におけるサルコペニアの意義

[演者] 工藤 健介:1
[著者] 佐伯 浩司:1, 中島 雄一郎:1, 西村 章:1, 田尻 裕匡:1, 中西 良太:1, 藏重 淳二:1, 杉山 雅彦:1, 沖 英次:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学病院 第2外科

【はじめに】サルコペニアは加齢に伴う筋力の低下,または老化に伴う筋肉量の減少として提唱された概念である.近年サルコペニアの指標である骨格筋量の減少と癌患者の予後に関連した報告が散見されるが,消化管癌においては,食道癌と胃癌で異なる結果が報告されている.今回,胃上部癌及び食道胃接合部癌におけるサルコペニアの長期および短期予後への影響について検討した.
【対象】2005年1月から2016年3月に手術を施行された食道胃接合部癌及び胃上部癌148例を対象とした.
【方法】骨格筋量の測定はCT axial画像にて第3腰椎下縁レベルの骨格筋の総面積を測定し,身長の2乗で除した数値を計測した.サルコペニアの判定には,男女差及びBMIを考慮した判定基準を採用し,患者群をサルコペニア群と非サルコペニア群に分類し,両群間で臨床病理学的因子及び予後について比較検討した.
【結果】サルコペニア症例を胃上部癌で23例(26%),食道胃接合部癌で19例(32%),計42名(28%)に認めた.臨床病理学的因子の比較では,サルコペニア群で有意に女性の割合が高く(P = 0.0140),平均年齢が高かった(P = 0.0356).長期予後の比較において,5年全生存率(OS),無再発生存率(RFS)ともにサルコペニア群で有意に不良であった(OS 85.5% vs 54.8%, P = 0.0010; RFS 78.7% vs 51.7%, P = 0.0054).多変量解析の結果,N因子(P < 0.0001),接合部癌(P = 0.0291),及びサルコペニア(P = 0.0293)が独立した予後不良因子として同定された.
【結語】サルコペニアは,胃上部癌及び食道胃接合部癌の手術症例において独立した予後不良因子であった.サルコペニアを有する胃上部癌,食道胃接合部癌症例に対しては,特に慎重な治療計画の検討,及び厳密なフォローアップが必要であると考えられた.
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