演題

経口摂取困難である高度進行胃癌に対する術前化学療法における積極的経腸栄養併用の有用性

[演者] 石井 賢二郎:1
[著者] 沼田 佳久:1, 岡本 光祈子:1, 松尾 一勲:1, 関 博章:1, 安井 信隆:1, 坂田 道生:1, 嶋田 昌彦:1, 松本 秀年:1
1:けいゆう病院 外科

(背景・目的)高度進行胃癌に対するR0根治手術を目指した術前化学療法(以下NAC)の有用性は報告されており,使用報告は増えてきている.しかし,高度進行胃癌では,胃の狭窄・閉塞,食欲不振などによる経口摂取不良症例も多く,化学療法施行困難例や術前での体力低下が懸念される例も多い.そのような症例に対して,当院では術前よりdouble elementary diet tube (W-ED tube)を挿入し経腸栄養を使用しながら,また経口摂取が少しでも可能な場合は色々なタイプの栄養補助食品・経腸栄養剤を用いてなるべく腸管を使用することで,栄養状態を維持・改善しながら化学療法を施行している.今回,当院における上記のような術前から栄養介入を行ったNAC症例における,その有用性について検討を行った.
(対象)2015年4月から2016年11月までの期間に術前経腸栄養を併用しながらNACを施行し,胃全摘術・他臓器合併切除を施行した6例を検討対象とした.
(結果)平均年齢は71.5歳で,男性4例,女性2例であった.ASA class1/2/3は1/5/0例で,NAC前のBMIは17.1-30.1(平均22.2),Albumin(ALB)値は2.2-4.0g/ml(平均3.23g/ml)であった.化学療法はS-1 + CDDP (SP) or S-1 + CDDP + docetaxel (DCS) or S-1 + Oxaliplatin (SOX)を施行し,2-3コース施行した.1例発熱性好中球減少症を認め,化学療法の施行が遅れたが,全例大きな問題はなく完遂し得た.NAC後のBMIは17.2-27.4(平均21.15),ALB値は2.5-4.3g/ml (平均3.68g/ml)であった.
膵体尾部脾臓摘出が3例で行われ,全例で空腸廔造設を施行し術後早期から経腸栄養を施行した.全例R0手術を施行し得た.術後診断は,pStageⅡBが2例,ⅢBが3例,ⅢCが1例であった.化学療法効果判定は,Grade 1Bが2例,Grade 2が4例であった.術後膵液瘻を3例に認めるも,全例軽快退院可能であった.
(考察)術前BMI・ALBともNAC前後で保たれており,ALBは4例では改善を認めた.経腸栄養施行による嘔吐や高度な下痢などの有害事象は認めず,狭窄・閉塞による経口摂取困難例でもW-ED tubeなどを積極的に用いることで安全にNACは施行可能と考えられた.また術前診断の精度の検討は当然必要ではあるが,全例R0手術が可能であり,経口摂取困難症例でも経腸栄養を併用しながらのNACは有用である可能性が示唆された.
(結語)高度進行胃癌・経口摂取困難症例におけるNACにおいて,積極的経腸栄養併用は有用であると考えられる
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