演題

当院における胃全摘術後体重減少の現状と問題点

[演者] 渡邊 将広:1
[著者] 木下 敬弘:1, 海藤 章郎:1, 砂川 秀樹:1, 杉田 静紀:1, 寺田 参省:1, 藤田 武郎:2, 大幸 宏幸:2
1:国立がん研究センター東病院 胃外科, 2:国立がん研究センター東病院 食道外科

はじめに:胃癌術後の体重減少は,患者のQOLや活動性に関わる重要な指標の一つである.特に胃全摘術は他の術式に比べ体重減少率が高く,QOLが大きく損なわれるケースを経験することがある.また,最近では体重減少率と術後補助化学療法の継続性に関連があるという指摘もある.今回,当院の胃全摘術施行患者の術後体重減少の現状と問題点を明らかにすることを目的とした検討を行った.対象・方法:2011年1月~2015年12月の期間に当院で胃癌に対しR0の胃全摘術が施行された患者(術前化学療法施行例,合併切除例は除く).退院時,術後1ヶ月,6か月,1年,2年,3年の体重減少率を算出し,さらに体重減少のリスク因子を分析した.また術後補助化学療法と体重減少率との関連も調査した.結果:対象は82例.退院時/術後約1ヶ月/6か月/1年/2年/3年の体重減少率(%)はそれぞれ6.0/8.2/14.5/14.0/11.9/11.6で,術後6か月から1年に体重減少のピークを認めた.術後1年での体重減少率(%)を各因子別に比較すると,75歳以上/未満=13.2/14.2 (P=0.67), 男性/女性=13.0/19.6 (P=0.013), ASA-PS1/2=13.6/14.3 (P=0.76), BMI25kg/m2以上/未満=18.5/12.9 (P=0.016), 食道空腸吻合法Circular/Linear=13.5/14.4 (P=0.61), Clavien-Dindo分類Grade2以上の合併症有/無=17.0/13.2 (P=0.10), 術後吻合部狭窄有/無=14.4/14.0 (P=0.90), pT2以上/T1=12.8/12.9 (P=0.97), 術後補助化学療法有/無=13.9/14.1 (P=0.92)で,性別とBMIで有意な関連を認めた.術後1年の体重減少率が15%以上の患者は33例(40%)で認め,多変量解析の結果,BMI25kg/m2以上(オッズ比4.6, 95%信頼区間:1.4-16.8)と女性 (オッズ比4.1, 95%信頼区間:1.1 -17.3)が独立したリスク因子であった.術後補助化学療法を施行した症例25例のうち完遂できなかった症例は3例で,完遂できなかった群では完遂できた群と比較して退院時の体重減少率(%)が高かった (完遂/未完遂:4.3/8.4, P=0.0174).
考察:当院の胃全摘術後患者は術後1年で平均15%近くの体重減少をきたしており,特に女性・BMI25kg/m2以上がリスク因子であった.また少数の検討ではあるが,体重減少率と術後補助化学療法の継続性との関連が示唆され,術前あるいは術後早期の化学療法導入を見越した栄養介入が必要であると考えられた.
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