演題

当院における体上部胃癌に対する腹腔鏡下胃亜全摘術の術式と栄養評価の検討

[演者] 熊野 達也:1
[著者] 窪田 健:1, 古家 裕貴:1, 高畠 和也:1, 加藤 千翔:1, 岸本 拓磨:1, 井村 健一郎:1, 池田 純:1, 谷口 史洋:1, 塩飽 保博:1
1:京都第一赤十字病院 外科

体上部胃癌に対して,通常は胃全摘術が施行されることが多い.しかし,逆流症状や栄養障害など,胃全摘術後のQOLは決して満足できるものとは言えない.これに対して腹腔鏡下胃亜全摘術は小さいながらも穹窿部を含む胃を残せるために,栄養面での改善が期待される.今回当院で施行している体上部胃癌に対する腹腔鏡下胃亜全摘術の栄養評価の検討と,その術式について報告する.対象は2014年1月から2016年3月までに当院で手術を施行した胃体上部癌の症例39例.そのうち胃全摘術(開腹,腹腔鏡)を35例に施行し,4例に腹腔鏡下胃亜全摘術を施行した.術式であるが,まず型のごとく胃を授動しリンパ節郭清を行った後に,腫瘍口側縁から早期癌で1-2cm,進行癌で3-5cm離して胃穹窿部を残す程度の小さな残胃となる状態で胃を切離する.再建は残胃が小さいためにR-Y再建を選択しているが,自動縫合器による吻合では短胃動脈からの血流を傷害し残胃の血流障害を引き起こすことが懸念されるため,サーキュラーステイプラーによる吻合を用いている.残胃へ経口的にアンビルを留置し,その切離断端大弯側でhemi-DSTにて吻合する.平均手術時間は308.8分,平均出血量は26.3mlであった.Clavien-Dindo分類GradeⅡ以上の術後合併症は,膵液瘻を認めた1例のみであった.術後6か月の時点での血清総蛋白,血清アルブミン値は胃全摘術に比べて腹腔鏡下胃亜全摘術で高く保たれる傾向を認めた.また,明らかな逆流症状を呈する症例は認めなかった.腹腔鏡下胃亜全摘術は胃全摘術と比較して栄養面やQOLの改善が期待される術式といえ,体上部胃癌に対して根治性が保たれるようであれば適応可能な術式として検討されるべきである.
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