演題

腹腔鏡下迷走神経腹腔枝温存幽門側胃切除術における消化管運動機能と栄養状態

[演者] 持木 彫人:1
[著者] 石畝 亨:1, 福地 稔:1, 熊谷 洋一:1, 石橋 敬一郎:1, 石田 秀行:1
1:埼玉医科大学総合医療センター 消化管外科・一般外科

近年,胃癌に対する機能温存手術として迷走神経腹腔枝温存幽門側胃切除術が行われているが,化学的根拠に基づいた有用性を評価した報告は少ない.我々は迷走神経腹腔枝を温存する有用性を評価するために臨床研究(UMIN000013652)を行った.消化管運動は術後の短期的評価であるが,栄養状態に関して長期的な評価を行った.神経温存30例と神経非温存31例を比較した.
(方法)術前診断cT1,2N0に対して腹腔鏡下迷走神経腹腔枝温存幽門側胃切除術,腹腔枝非温存をランダムに選択し施行した.初回排便時期,食事摂取量(全粥摂取時),空腹時血糖値(術後10日)を評価,さらには内圧測定法(食道,残胃,十二指腸を測定)を用いて術後10日目に空腹期,食後期2時間ずつ消化管運動を測定比較した.長期的には栄養状態として体重,アルブミ(Alb)を評価した.
(結果)温存,非温存の男女比は19:11,22:9,平均年齢は63,67歳であり有意差は無かった.症例の進行度は温存,非温存でStage I(26:27),II(3:1),III(1:3)で有意差は無かった.手術時間,出血量,廓清個数は温存,非温存の比は164:161分,35:32g,38:32個で有意差はなかった.排便時期(温存 vs 非温存;3.5 vs 3.8日),血糖値(106 vs 107 mg/dl)であり有意差はなかった.全粥食事摂取量は温存で92%,非温存で82%であり温存で有意に良好であった.消化管運動機能では温存の十二指腸収縮能(motility index)は空腹期98,食後期108であり,非温存では空腹期47,食後期104であり,温存の空腹期収縮が有意に良好であった.術後1年での体重は温存,非温存共に術前の91%であり有意差は無く,Alb値も温存4.0,非温存3.8で統計学的に有意差は無かった.
(まとめ)幽門側胃切除術において迷走神経腹腔枝を温存すると術後の食事摂取量と十二指腸収縮が非温存群に比べて良好であり,消化管機能において腹腔枝温存は効果があると考えるが,術後体重,Alb値には有意差はなく,長期的には神経温存による栄養面での効果は認められなかった.
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