演題

当科における高齢者胃癌患者に対する術後せん妄の検討

[演者] 山崎 祐樹:1
[著者] 加治 正英:1, 柄田 智也:1, 郡司掛 勝也:1, 羽場 祐介:1, 竹下 雅樹:1, 松井 恒志:1, 天谷 公司:1, 前田 基一:1, 清水 康一:1
1:富山県立中央病院 外科

【背景】術後せん妄は術後合併症の増加,機能回復の遅れ,在院期間の延長,医療者の負担増加など,術後管理の妨げになるものとして問題視されている.術後せん妄の発症機序はいまだに明らかとなっていないが,認知症との関連や周術期の身体的・精神的ストレスなど様々な要因が関与していると考えられる.術後せん妄は術後早期に起こり,比較的高齢者に多いとされる.近年の高齢化社会では高齢者の手術割合も増加していることから,その発症も増加しているものと考えられる.当科においても胃癌手術患者の約1/3以上が75歳以上の高齢者であり,平均年齢も年々上昇傾向にあることから,今後ますます術後せん妄が問題となってくることが予想される.当科では術後せん妄のハイリスクチェックリストを作成し,ハイリスク患者に対しては,せん妄カンファレンスを行い,スタッフ内での情報共有を行っている.
【目的】75歳以上の高齢者胃癌患者に対する胃切除術後のせん妄発生患者群をせん妄を発生しなかった患者群と比較することで,そのリスク因子や術後短期成績への影響について明らかにする.
【方法】2012年4月から2016年11月の間に胃切除術を施行した75歳以上の高齢胃癌患者のうち他臓器癌に対する他臓器合併切除を行った症例を除く201例を対象とした.術後せん妄の定義はDSM-Ⅳに基づき,後方視的にカルテおよび看護記録からデータ収集し,術後せん妄の発生状況と現状について検討した.
【結果】せん妄の発生率は33.3%(67人)であった.せん妄発生群の年齢は82.9±5.1,せん妄の発生しなかった群の年齢は78.1±2.3歳(以下全てせん妄あり群:せん妄なし群)と有意にせん妄発生群はより高齢であった.BMI 22.0:24.2,ASA-PS 2/3-4 47/20:114/20と有意にやせ型・PS不良例にせん妄の発生が多かった.性別には有意差はみられなかった.腫瘍因子ではcStage(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ) 28/14/16/9:80/35/17/2と有意に進行癌でせん妄の発生が多く認められた.それに伴い手術因子ではアプローチ(開腹/腹腔鏡) 45/22:57/77,リンパ節郭清度(D0/D1/D1+/D2) 14/14/30/9:4/25/73/31と有意に開腹群,郭清度の高い群にせん妄の発生が多く認められた.術式や手術時間,出血量に有意差は認められなかった.また,Clavien-Dindo分類G2以上の術後合併症の発生率,在院日数に有意差は認めず,自宅退院率はせん妄発生群に多い傾向はあったものの有意差には至らなかった.
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