演題

高齢者胃癌症例における術後合併症予測因子の検討

[演者] 樋口 格:1
[著者] 片田 夏也:1, 渡邊 良平:1, 長尾 さやか:1, 竹下 惠美子:1, 榎本 俊行:1, 中村 陽一:1, 渡邉 学:1, 斉田 芳久:1, 草地 信也:1
1:東邦大学医療センター大橋病院 外科

【背景・目的】
近年,高齢者の胃癌症例が増加傾向にある.本研究では80歳以上の胃癌患者における術後合併症予測因子を明らかにすることを目的とした.
【対象・方法】
2010年1月~2015年12月までに施行した胃癌手術症例284例中,80歳以上の48例(28%),平均年齢83歳(80-92),男/女;29/19を対象とした.全体の39例(81.3%)が併存症を有し,循環器疾患・腎不全を有する症例が20例(51.3%)であった.術式は胃全摘術/幽門側胃切除術/噴門側胃切除術/胃部分切除術/胃空腸バイパス術;12/33/1/1/1であり,腹腔鏡下手術を12例 (25%)に施行した.
最終病期はStageIA/IB/IIA/IIB/IIIA/IIIB/IIIC/IV;17/5/10/4/2/1/4/5であった.合併症をCD分類0 or IとII以上に分け合併症予測因子を術式,病期,併存疾患,手術時間,出血量,術後在院日数,術前ALB値,Hb値,BMI値を選択し2年生存率と合わせて比較検討した.
【結果】
CD分類GradeII以上の合併症は21例(43.8%)に認めた.うちわけはII/III/IV/V;12/5/1/3で誤嚥性肺炎が7(33.3%)と最も多く,創感染3例,R-Ystasis 2例,縫合不全2例,腹腔内膿瘍1例,後出血1例,ダンピング症候群1例,腸閉塞1例,膵炎1例,胃排泄遅延1例,乳び腹水1例であった.手術関連死亡は3例(14.3%)に認めた.各因子をCD分類0 or I,II以上とで比較した.①手術時間;283.8±19.9 vs 320.0±22.5,min,p=0.24(CD 0 or I vs II以上mean±SD,p-value) ②出血量;193.4±54.0 vs 262.2±61.3,ml,p=0.40 ③術前ALB値;3.7±0.11 vs 3.7±0.13,g/dl,p=0.91 ④術前Hb値;11.5±0.32 vs 11.4±0.37,g/dl,p=0.72 ⑤術前BMI値;20.0±0.75 vs 21.1±0.84,kg/m2,p=0.32 ⑥術後在院日数;18.9±7.80 vs 43.7±8.84,day, p=0.041で合併症をきたした症例で術後在院日数の延長を認めた.術式別では,開腹手術が腹腔鏡下手術より有意に合併症が多く(p=0.044),胃全摘vs幽門側胃切除術,D1, 0 vs D1+, 2で有意差はなかった.循環器疾患・腎不全を有する症例で合併症が多い傾向にあった(p=0.034).観察期間の中央値は22カ月(0-76)で,2年全生存率は84.7%(CD 0 or I;86.8%,CDII以上;80.0%,p=0.33)であった.
【結語】
高齢者の胃癌症例においては,高率に併存疾患を合併している.循環器疾患及び腎不全を有する症例において合併症の発生頻度が高かった.腹腔鏡下手術により合併症が増加することはなく,症例を適切に選択すれば腹腔鏡下手術を適応させてもよいと考えられた.
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