演題

80歳以上高齢者進行胃癌に対する胃切除術の術後合併症の危険因子の検討

[演者] 上田 貴威:1
[著者] 藤島 紀:2, 平塚 孝宏:2, 赤木 智徳:3, 柴田 智隆:3, 當寺ヶ盛 学:2, 白下 英史:2, 衛藤 剛:2, 白石 憲男:1, 猪股 雅史:2
1:大分大学医学部地域医療学センター 外科分野, 2:大分大学附属病院 消化器外科, 3:大分大学附属病院 救命救急センター

【背景】高齢者に対する胃癌手術は,早期癌のみならず進行癌に対しても積極的に行われており,その安全性が検討されている.しかしながら,高齢者進行胃癌症例に対する胃切除術後合併症の危険因子は未だ明らかではない.
【目的】80歳以上の高齢者進行胃癌に対する胃切除術後合併症の危険因子を明らかにする.
【方法】1998年から2015年まで当科にて施行した80歳以上のpT2以深の進行胃癌に対し,胃切除術を施行した47例を対象とし,背景・手術成績・術後合併症の有無について検討した.
【結果】対象47症例の平均年齢は83歳(80-92)であり,男女比は28対17であった.術式は,胃全摘術15例,幽門側胃切除術31例,噴門側胃切除術1例であり,平均手術時間は256分(143-645),平均出血量は205g(5-3060)であった.術後全身合併症は,8例(17%)にみられ,肺炎6例(13%),腎機能低下1例(2%),腸炎2例(4%)であった.局所合併症は13例(28%)にみられ,縫合不全4例(9%),腹腔内膿瘍1例(2%),stasis7例(15%),創感染3例(9%)であった.合併症の有無により単変量解析を行ったところ,全身合併症の危険因子は腫瘍深達度のみ(p< 0.05)であった.同様に,局所合併症の危険因子は,術前アルブミン値,腫瘍径40mm以上,進行度(いずれもp< 0.05)であった.このため,さらに腫瘍径によって,小型(40㎜未満)群(n=9)と非小型(40㎜以上)群(n=38)の2群に分け比較検討を行った.非小型群において,基礎疾患が有意に多く(11% vs 73%,p< 0.01),術前アルブミン値が低く(平均Alb値4.1 vs 3.5 g/dl,p< 0.01),さらに転移リンパ節個数が有意に多かった(0 vs 2個,p< 0.05).術後全身合併症の発生については,2群間に差はみられなかったが,局所合併症の発生は非小型群に有意に多かった(0% vs 34%,p <0.05).
【結語】80歳以上の高齢者進行胃癌に対する胃切除術において,術後全身合併症の危険因子は腫瘍深達度のみであり,局所合併症の危険因子は,術前アルブミン値,腫瘍径40mm以上,進行度であった.
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