演題

高齢者胃癌手術症例における術後Performance Statusの変化が予後に与える影響

[演者] 佐瀬 善一郎:1
[著者] 遠藤 久仁:1, 花山 寛之:1, 楡井 東:1, 菊池 智宏:1, 金田 明尚:1, 丸橋 繁:1, 河野 浩二:1
1:福島県立医科大学医学部 消化管外科学講座

【背景】 低侵襲手術の開発等による術後短期成績の向上により高齢者胃癌症例手術数も増加しているが,長期成績については非高齢者と比較して不良であると報告されている.今回我々は当科で経験した80歳以上の高齢者胃癌症例に対する胃切除術の周術期および長期予後に関する因子,特に術後Performance status(PS)の変化が予後に与える影響について検討した.
【対象と方法】 2008年から2014年に当科で切除術が施行された80歳以上かつ術前PS1以下の胃癌患者36例を対象とし,術前併存症,術式,手術時間,出血量,術後合併症,術後PSの低下,予後について検討した.
【結果】 平均年齢82.5(80-89)歳,男女比は23:13であった.術前併存症は循環器疾患:45.7%,脳血管障害:17.1%,呼吸器疾患:8.6%,腎疾患:8.6%,糖尿病:17.1%,整形外科領域疾患:34.3%,他悪性疾患の既往:14.3%を認めた.術後最終診断はStage1A:57%,1B:11%,2B:11%,3A:9%,3B:3%,3C:6%,4:3%であった.術式は 開腹幽門側胃切除(ODG)11例,腹腔鏡下幽門側胃切除(LDG)9例,開腹噴門側胃切除(OPG)1例,開腹胃全摘(OTG)15例であった.術後合併症を42%に認め,その内訳はせん妄:5例,肺炎/無気肺:4例,縫合不全:2例,SSI:3例であった.在院日数中央値は12日(8-188日)であった.在院死は認めず.術後3ヶ月でPS(PS3m)低下を来した症例は23%であったが,そのうち8%は術後6ヶ月でPS(PS6m)の改善を認めた.PS3m低下を認めなかった症例のうち,8%ではPS6mの低下を認めた.PS3m,PS6m低下の有無と予後の比較では,3ヶ月時点での差は認めなかったが(p=0.31),PS6m低下群では不変群に比し優位に予後が不良であった(p=0.004).病期での差を除外するためにstage1 -2症例に限って検討しても同様にPS6m低下群で優位に予後不良であった(p=0.003). また術後合併症のグレードがCDグレード2以下の症例での検討でも同様の結果であった(p=0.033). 術式毎にPS6m低下割合を検討すると,DG:18%,LDG:33%,TG:20%であったがLDG群では死亡例は認めなかった.
【結論】 術後3ヶ月時点でのPS低下の有無では予後に差は認めなかったが,術後6ヶ月時点でPSが低下していた群は有意に予後が不良であった.術後PS低下の危険性のある症例を術前に抽出することで,予後の改善が得られる可能性が示唆された.
詳細検索