演題

超高齢者(85歳以上)胃癌手術症例の検討

[演者] 河内 保之:1
[著者] 牧野 成人:1, 北見 智恵:1, 松本 瑛生:1, 須藤 翔:1, 角田 知行:1, 川原 聖佳子:1, 西村 淳:1, 新国 恵也:1
1:長岡中央綜合病院 外科

【はじめに】超高齢化社会の到来に伴い,胃癌診療においても超高齢者に遭遇する機会が増加している.多くに臨床試験は80歳以下を対象としていることが多かったが,高齢者胃癌の増加に伴い,補助化学療法において80歳以上を対象とした試験も開始された.しかし,85歳以上の超高齢者胃癌は標準治療対象外となる集団であると思われる.
【目的】85歳以上の超高齢者胃癌手術症例の治療成績を後方視的に調査し,治療のあり方について検討した.【対象】2006年~2016年の間に当院の胃癌手術例は1778例のうち85歳以上107例(6.0%)を対象とした.
【結果】男性59例,女性48例.最高齢は97歳で90歳以上は18例.穿孔による緊急手術が2例で,残胃癌が6例.発見契機は84例(79%)が有症状で貧血,食欲不振,狭窄症が多かった.術前併存疾患は高血圧59例(55%),心疾患26例(24%),脳血管疾患17例(16%),糖尿病15例(14%),認知症10例(9%)などで「なし」は19例(18%)であった.39例(36%)に同時性・異時性の重複癌・多発癌を認めた.術式は11例がバイパス手術,切除は96例(90%)でうち35例(36%)が腹腔鏡手術であった.進行度はI期34例,II期32例,III期22例,IV期19例と進行癌が多かった.術後合併症は23例(21%)に発生し,1例手術死亡した.術後平均在院日数は15.3日,自宅退院できたのは87例(81%)であった.予後は生存中40例,死亡52例,不明15例であり,切除例は3年生存31.2%,5年生存14.6%であった.切除例の進行度別MSTはI期950日,II期573日,III期488日,IV期144日であり,非切除でバイパスを行った症例のMSTは93日であった.
【考察】超高齢者手術においては術前リスク評価が重要とされるが,具体的な評価法や適応などは定まっていない.当科では術前定まったリスク評価は行っていないが,手術死亡は0.9*%,在院日数15.3日とほぼ満足のいく結果であった.また,超高齢者は重複癌や他病死が多いため,郭清度や根治度による生存率の差が出ないとされる.今回の検討で有症状例が多いこと,ステージ別生存に差はあるもののいずれも短いこと考慮すると郭清を手控え症状回避の胃切除で十分であると思われる.また,バイパス症例の予後は短く,非切除例ではステントやBSCも選択肢であると思われる.
【結語】超高齢者胃癌の手術は安全に施行できるが,その予後は長くなく,郭清は考慮せず症状回避の胃切除で十分である.
詳細検索