演題

当科における超高齢者胃癌患者に対する短期手術成績の検討

[演者] 入村 雄也:1
[著者] 谷島 雄一郎:1, 仲吉 朋子:1, 伊藤 恵理子:1, 岡本 友好:1, 矢永 勝彦:2
1:東京慈恵会医科大学附属第三病院 外科, 2:東京慈恵会医科大学附属病院 消化管外科

本邦における高齢化に伴い,85歳以上の超高齢者に対する胃がん手術は増加している.併存する基礎疾患が多い高齢者の中でも,特に超高齢者に対しては耐術能の低下を考え,周術期管理や安全性に充分に留意する必要がある.今回,当科で施行した超高齢者胃癌患者の短期手術成績を検討したので報告する.
[対象と方法]2011年1月から2015年12月の5年間に,当科で胃癌に対し胃切除術を施行された患者を以下の2群に分け,周術期データ,術後合併症,術後経過を比較した: 超高齢者(VO群)18例(男:女=10:8),75歳から84歳までの高齢者(O群)83例(男:女=52:31).
[結果]施行術式(幽門側胃切除および噴門側胃切除/胃全摘)はVO群:17/1例,O群57/26例であり,VO群では胃全摘が有意に少なかった.腹腔鏡手術の割合はVO群で4例(24%),O群で23例(28%)と差を認めなかった.手術時間はVO群223.3±92.3分,O群298.2±84.9分でVO群が有意に短く(p<0.01),出血量もVO群84.1±74.3ml,O群223.6±273.2mlとVO群が有意に少なかった(p=0.03).ガイドライン推奨郭清度未満の手術はVO群に多い傾向にあった(72% vs 53% p=0.14).術後食事摂取開始までの期間は,VO群5.6±4.8日,O群8.4±13.6日,術後在院日数はVO群17.5±9.5日,O群19.1±18.4日と差を認めなかった.またJCOG術後合併症基準(Clavien-Dindo分類)GradeⅢ以上の発生率はVO群1例(6%),O群7例(8%)と有意差を認めなかったが,術後せん妄の発生率はVO群7例(39%),O群13例(16%)とVO群で有意に高かった(p=0.03).術後病理診断病期(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ)はVO群(7/9/2/0),O群(41/23/14/5)と両群に差はなかった.
[まとめ]今回の検討では,85歳以上の超高齢者では郭清未満の手術例が多い傾向にあるが,手術時間が短く出血量は少量であり,75-84歳の高齢者と,術後経過や合併症に差を認めなかった.以上より術後せん妄に留意する必要はあるが,85歳以上の超高齢胃癌患者に対しても安全に胃切除術が施行可能であると示唆された.
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