演題

CY(+) 進行胃癌に対するPTX腹腔内投与+PCS全身化学療法の有用性の検討

[演者] 新海 政幸:1
[著者] 今野 元博:1, 平木 洋子:1, 加藤 寛章:1, 岩間 密:1, 白石 治:1, 安田 篤:1, 木村 豊:1, 今本 治彦:1, 安田 卓司:1
1:近畿大学医学部 上部消化管

(背景・目的)
胃癌の進展形式として腹膜播種の頻度が高く,その成立機序は癌漿膜浸潤部から癌細胞が直接又は腹膜下リンパ管を介し腹腔内に遊離し,腹膜に着床,増殖するとされる.腹腔細胞診陽性(CY1)は腹膜播種(P1)の初期段階と捉えられ,P1に匹敵する予後因子とされてきた.CY1を唯一の非治癒因子とする高度進行胃癌の治療戦略として,我々は2008年よりPTX腹腔内化学療法とOGSG0703レジメンによるPTX+CDDP+TS-1(PCS)全身化学療法を4症例に施行した.有害事象はGrade3の白血球減少および好中球減少を1例(25%)に認めるのみと軽微で,4例全例に腹水細胞診陰性化を認めたが,主病巣およびLNへの組織学的効果が限定的(Grade1a/1b:3/1例)であり,早期再発例も認めたため,PCS投与レジメンをOGSGレジメン(TS-1:80mg/m2/dayを3週内服2週休薬,CDDP:30mg/m2,PTX:80mg/m2をday1,15に投与)より改変した.今回,その治療成績を報告する.
(対象・方法)
2011年より審査腹腔鏡にてP0CY1診断例に対し,PTX80mg/m2腹腔内単回投与.7日目よりPCS療法を開始.TS-1:80mg/m2/dayを2週内服1週休薬,CDDP:30mg/m2とPTX:80mg/m2をday1,8に投与,2コース施行時にNC以上であれば,基本5コース施行し,再度審査腹腔鏡を施行,P0CY0あるいはP0CY1なら胃切除を施行することとした.
(結果)
症例は9例,男/女:6/3例,年齢中央値65.6歳,肉眼型1/2/3/4:0/1/5/3例,分化型/未分化型:3/6例,化学療法による有害事象は血液毒性としてGrade3の貧血を1例,Grade4の白血球減少および好中球減少を1例認めた.非血液毒性はCDDPに対するGrade3のアレルギー(注入反応)を1例に認めた.
奏功度はCR/PR/SD/PD:0/6/3/0例.9例全例に再度審査腹腔鏡を施行した.審査腹腔鏡の結果はP0CY0/P0CY1/P1CY1:7/1/1例.腹水細胞診陰性化率は77%(7/9).P1CY1以外の8例に対しD2リンパ節郭清を伴う胃切除術施行した.術後合併症は認めず.組織学的効果判定はGrade 0/1a/1b/2/3:0/2/0/5/1例.組織学的奏効率は75%(6/8例)であった.術後補助療法として7例にPTX80mg/m2i.v.1コース施行に続き,S-1を投与.長期成績:切除例8例中4例に播種再発を認めた.残り4例は無再発生存中.1生率100%,3生率50%,5生率33%であった.
(結語)
CY(+)進行胃癌に対する本治療法は,腹水細胞診陰性化率も良好であり,胃切除例では組織学的効果も良好で長期生存例も認め,有望な治療戦略として期待できる.
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