演題

術後5年間無再発生存中の門脈腫瘍塞栓を伴う胃癌の1例

[演者] 早稲田 正博:1
[著者] 岡本 成亮:1, 金 龍学:1, 筋師 健:1, 木村 都旭:1, 白畑 敦:1, 高坂 佳宏:1, 鈴木 哲太郎:1, 松本 匡史:1, 石田 康男:1
1:横浜旭中央総合病院 外科

症例は58 歳,男性.2011年10月に門脈腫瘍塞栓を伴う胃癌およびS状結腸癌と診断され,同時手術を施行した.胃癌は胃体下部小弯の3型の病変,門脈内には左胃静脈から門脈本管に連続する腫瘍像を認めた.門脈内で腫瘍は腫瘤状に増殖し門脈の拡張所見を伴っていた.明らかな肝転移およびその他の遠隔転移の所見は認められなかった.手術は胃全摘(D2郭清),胆嚢摘出術,門脈腫瘍栓摘出および門脈形成術,S状結腸切除(D3郭清)を施行した.病理組織学的検査では,胃病変より低分化型腺癌を認め,漿膜浸潤および5か所のリンパ節転移を認めた.門脈内の腫瘍塞栓は胃と同様の組織像を呈していた.S状結腸の病変は漿膜下層浸潤を認め,摘出したリンパ節の転移は認めなかった.
術後に膵液瘻に伴う総肝動脈の仮性動脈瘤を合併し塞栓術を必要としたが,その後状態は改善し退院した.
術後化学療法として, S-1/CDDP 療法を2コース施行.高度の嘔気,倦怠感および骨髄抑制を認めたため,S-1単剤の内服に切り替え,術後18か月まで継続した.その後術後5年2か月を経過する現在まで無再発生存中である.
門脈腫瘍塞栓を伴う胃癌は,肝やリンパ節の転移を伴うことが多く予後不良とされる.一方で手術,化学療法を組み合わせた集学的治療により良好な経過が得られたとする報告も散見される.しかし術後5年間を超えての無再発生存中の報告は少ない.今回我々は門脈腫瘍塞栓を伴う胃癌に対する一期的根治手術と術後化学療法が奏功し,術後5年間の無再発生存が得られている稀な1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
詳細検索