演題

SY12-6

若手外科医に対する顕微鏡下血管吻合技術の伝承ーISEM日本支部によるハンズオンセミナーの活動

[演者] 八木 真太郎:1
[著者] 政野 裕紀:1, 奥村 晋也:1, 猪股 裕紀洋:2, 上本 伸二:1, 小林 英司:3
1:京都大学附属病院 肝胆膵・移植外科, 2:熊本大学附属病院 移植外科, 3:慶應義塾大学医学部 ブリヂストン臓器再生医学寄附講座

目的: 近年,手術の高難度化に伴い,肝移植のみならず肝胆膵外科分野においても顕微鏡を用いた動脈吻合技術の必要性が増してきている.しかし,その技術伝承は,On-the-Job Trainingが主流であり若手外科医が携わる機会は極めて少ない.そこで我々は,全国の若手外科医を対象として,顕微鏡下動物実験と臨床手術手技向上の双方向を目指した,International Society for Experimental Microsurgery(ISEM)日本支部主催のマイクロサージャリーハンズオンセミナーを行ってきたため,その活動について報告する.
方法: ハンズオンセミナーでは,「練習のために生きた動物を用いない」というコンセプトのもと,受講者に予め血管吻合の動画を配信し,イメージトレーニングしてもらったうえで,卓上型顕微鏡を用いて人工血管(サンアロー株式会社,新潟)を吻合する実習形式で行った.2015年10月と2016年11月には小児生体肝移植における左肝動脈再建の設定で,20分で2mmの人工血管を9-0 polypropylene糸で端々吻合するコンテストをそれぞれ30名,12名の参加者に対して行った.2名の移植外科医が盲検で(1) 点滴セットを用いた通過・耐圧テスト(動画あり) (5 点) (2) アクリル板を用いて吻合部を内側・外側から観察 (4点)して,総合得点(計9点)により評価を行い,優秀賞の表彰を行った.
結果: 2015年にはラット臓器移植セミナー(座学による心臓・肝臓・膵臓・小腸移植の講義)に併施して4回のハンズオンセミナーを,2016年には2回のハンズオンセミナーを行い,顕微鏡を用いた移植実験と顕微鏡下血管吻合のコツとpitfallについて指導してきた.延べ143名の参加者のうち97%(141/143)が35歳以下であり,3名の医学部生も参加した.2015年10月に行われたコンテストでの参加者の評価点(中央値)は4点(0-9点)であり,外科医年数と得点の相関関係はなかったが,最高得点者はISEM日本支部のハンズオンセミナーに最も多く出席した外科医であった.
結論: 若手外科医にとって顕微鏡下の血管吻合技術を習得する機会は少なく,技術習得は難しいが,人工血管を用いたマイクロサージャリーハンズオンセミナーでの実習とコンテストによる吻合技術の客観的な評価により,受講者のモチベーションと吻合技術を向上させることができた.
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