演題

大腸癌術前治療後のypStagaⅠ症例の予後因子とサーベイランスの検討

[演者] 早田 浩明:1
[著者] 滝口 伸浩:1, 外岡 亨:1, 鍋谷 圭宏:1, 池田 篤:1, 有光 秀仁:1, 知花 朝史:1, 寺中 亮太郎:1
1:千葉県がんセンター 消化器外科

高度進行大腸癌術前治療を行う症例が増加し著効例も散見される.著効したypStageⅠの症例の術後のサーベイランスは術前治療しないStage Ⅰと同様としてもよいのだろうか.再発形式や頻度,因子を比較検討した.
目的:術前治療した大腸癌ypStage Ⅰ症例の再発を検討する.
対象:2000年~2014年3月までの当科で手術したStageⅠ大腸癌487症例
方法:術前治療の有無で症例を区分し,臨床病理学的因子で再発との相関を検討する.
結果:切除標本でのT1:303例,T2:184例.右側結腸:135例,左側結腸152例,直腸200例.再発例は14例で右側結腸には1例,左側結腸には2例,直腸には11例で直腸に多い.術前化学療法(NAC)例は2例,術前放射線化学療法(CRT)例は全例下部直腸で6例,前治療なしは479例.再発は14例(2.9%)で再発部位は吻合部1例,大動脈周囲リンパ節2例,肝4例,肺7例であった.NAC症例に再発例はなく,CRT症例では2例(33%)に肺転移再発が生じていた.前治療なし群を解析すると,再発と相関のある因子はT因子,リンパ管,静脈侵襲の有無,腫瘍径に認められ,多変量解析ではリンパ管侵襲のみが残った.前治療した群ではCRT例での肺転移再発2例しかないが,2例とも術前治療効果はGrade2と高いCRT効果を認め,T2に縮小した症例で組織学的脈管侵襲は認められなかった.
考察:術前治療例は治療開始前でT4bや高度なリンパ節転移を疑われた症例に行われている.術前治療なしのStageⅠの再発危険因子として脈管侵襲の有無があげられたが,CRT症例では放射線による効果で毛細脈管がつぶされ,術後標本では評価できない可能性がある.また,治療開始前に微少血行性転移が生じていても,画像診断で指摘できずに原発巣に放射線治療の効果が強く及び,結果的にypStageⅠとなったことが考えられ,CRT症例での再発は3年以内に生じていることと矛盾しない.
結語:術前CRTが著効しStageⅠとなった例でもStageⅢと同等に遠隔臓器転移再発が起こり得,術後サーベイランスはStageⅢと同等に行うべきである.
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