演題

リンパ節転移個数およびN3の概念を用いた大腸癌N分類の再構築

[演者] 神藤 英二:1
[著者] 梶原 由規:1, 山寺 勝人:1, 永田 健:1, 青笹 季文:1, 平木 修一:1, 辻本 広紀:1, 山本 順司:1, 長谷 和生:1, 上野 秀樹:1
1:防衛医科大学校医学部 外科学

本邦取扱い規約では,リンパ節転移が腸管傍/中間リンパ節内にとどまる場合,転移個数が1-3個のN1と4個以上のN2に分類し,主幹動脈根部および側方リンパ節転移は,転移総数にかかわらずN3と規定している.一方,TNM分類では転移個数を基準に分類するが,7個以上の転移をN2bとして4-6個のN2aと区別する.今回,転移個数と領域の概念を組み合わせ,至適N分類を構築することを目的とした.【方法】① 当科におけるStage III大腸癌初回手術症例1005例(1980-2007)を対象として,TNM分類(N1, N2a, N2b)と本邦規約N3転移の有無から6群(表記例:リンパ節転移個数4-6個(TNM-N2a)かつN3転移なしを"N2a(-)"群)に分類,それぞれの予後を比較した.さらに6群を生存率の相同性から3群に再構成した分類を新たに構築し,TNM分類や本邦規約分類と共に赤池情報量規準(AIC)を算出し,これらの優劣を判定した.② 占居部位をC-A, S-RS, Rbに限った場合の本邦N3の意義を検討した.【結果】① 6群間比較および新規分類の構築: N1(-), N2a(-), N2b(-), N1(+), N2a(+), N2b(+)はそれぞれ686, 140, 76, 37, 28, 38例で,5年無再発生存率(RFS)は,70.3%, 52.3%, 41.0%, 50.7%, 39.1%, 22.0%であった.N1(-)を新規N1,N2a(-)およびN1(+)を新規N2,N2b(-),N2a(+), N2b(+)を新規N3とした場合,3群の5年RFSは,70.3%, 52.0%, 35.3% (AIC, 6964.571)であり,TNM分類(5年RFS:69.3%(N1), 50.1%(N2a), 34.6%(N2b), AIC:6972.335 )および本邦規約分類(5年RFS:70.3%(N1), 48.3%(N2), 37.1%(N3), AIC:6971.656)より予後の分別能が改善した.② 部位別のN3の意義:C-Aの癌ではN1(-), N2a(-), N2b(-)の5年RFSは72.9%, 59.3%, 50.0%であるのに対し,N1(+), N2a(+), N2b(+)を統合した5年RFSは68.4%であった.S-RSでは,それぞれ71.6%, 55.0%, 52.3%, 34.4%,Rbでは60.8%, 46.3%, 16.7%, 38.4%であり,S-RSで本邦N3の予後不良因子としての意義が顕著であるが,C, A, RbではN3の意義が乏しいことが判明した.【結語】リンパ節転移個数とN3の概念を組み合わせることで,従来のN分類よりも分別能の良好なN分類が作成できる可能性が示唆された.N3の臨床的意義は腫瘍占居部位により異なり,その位置づけについては再考の余地があると考えられた.
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