演題

原発性大腸癌における腹腔洗浄細胞診の臨床的意義

[演者] 松宮 由利子:1
[著者] 賀川 弘康:1, 絹笠 祐介:1, 塩見 明生:1, 山口 智弘:1, 山川 雄士:1, 杉浦 禎一:2, 坂東 悦郎:2, 寺島 雅典:2, 上坂 克彦:2
1:静岡県立静岡がんセンター 大腸外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

【目的】原発性大腸癌における腹腔洗浄細胞診の臨床的意義を検討する.
【対象・方法】2002年9月から2013年9月までに原発切除を行った大腸癌のうち,腹腔洗浄細胞診を施行した1934例.そのうち深達度pT3以深の症例1449例を対象とする.<検討1>腹腔洗浄細胞診陽性の頻度と腹腔洗浄細胞診陽性に関わる臨床病理学的因子を検討した.<検討2>原発性大腸癌における予後因子についてCOX比例ハザード解析を用いて抽出し,腹腔洗浄細胞診陽性との関連を検討した.<検討3>Stage別のサブグループ解析を行い,腹腔洗浄細胞診陽性と予後の関連を検討した.
【結果】腹腔洗浄細胞診は3.7%(53例)で陽性であった.腹腔洗浄細胞診陽性は女性,深達度T4,リンパ節転移陽性,遠隔転移あり,多臓器転移,低分化型,リンパ管侵襲あり,静脈侵襲ありの症例で有意に多かった.腹腔洗浄細胞診による5年生存率は,陽性32.4%,陰性81.6%で腹腔洗浄細胞診陽性で有意に低かった(p<0.001).続いて,原発性大腸癌における予後因子における解析では,年齢65歳以上,直腸癌,深達度T4,リンパ節転移,リンパ管侵襲,肝転移,腹膜播種,根治度Cが独立した予後因子として抽出されたが,腹腔洗浄細胞診陽性は抽出されなかった.さらに,Stage別にサブグループ解析を行ったところ,Stage IIIにおける5年生存率は,腹腔洗浄細胞診陰性86.8%,陽性48.1%(p=0.003),Stage IVにおける5年生存率は,腹腔洗浄細胞診陰性41.8%,陽性21.4%(p=0.020)と有意差を認めたものの,Stage IVのうち,根治度Bの症例における5年生存率は,腹腔洗浄細胞診陰性61.3%,陽性40.4%(p=0.258)と有意差を認めなかった.
【結論】腹腔洗浄細胞診陽性は,大腸癌における独立した予後因子ではなかった.Stage別では,腹腔洗浄細胞診陽性は,Stage III大腸癌において予後に関与する可能性がある.Stage IV大腸癌のうち,治癒切除可能である症例では,腹腔洗浄細胞診陽性は予後と関与しない.
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