演題

SY12-5

肝移植手術手技を応用した肝胆膵悪性疾患に対する門脈切除再建ー外腸骨静脈/内頸静脈グラフトの有用性ー

[演者] 水野 修吾:1
[著者] 栗山 直久:1, 岸和田 昌之:1, 飯澤 祐介:1, 加藤 宏之:1, 村田 泰洋:1, 種村 彰洋:1, 臼井 正信:1, 櫻井 洋至:1, 伊佐地 秀司:1
1:三重大学附属病院 肝胆膵外科

【背景】生体肝移植手術では,門脈再建や肝静脈再建のためにグラフト血管が必用な場合が多く,当科では摘出肝臓の門脈,下腸間膜静脈,卵巣静脈に加え,門脈再建など長く太いグラフト血管が必用な際は,右外腸骨静脈(REIV)や左内頸静脈(LIJV)を利用してきた (Transplant Proc. 2012).一方,肝胆膵悪性腫瘍に対する手術においても,腫瘍の浸潤範囲により門脈の切除再建を行い,時にグラフト血管が必要となることがある.今回,門脈切除再建時の間置グラフト血管としてのREIV/LIJVの採取・再建方法とその成績について示す.
【手術手技】REIV採取:腹腔内法では,同一術野にて右下方へ術野を広げ,REIVを同定し,中枢側は内腸骨静脈分岐部まで,末梢側は骨盤壁まで剥離し採取を行う.腹腔外法では,鼠径靱帯から約2横指遠位側に4cmの横切開を置き,REIVを同定し中枢側に向かって剥離を行い採取する.LIJV:左頸部に4cmの横切開を置き,胸鎖乳突筋を避け,LIJVを同定し採取する.門脈再建は6-0ナイロン糸を用い,intraluminal法で連続縫合を行う.
【成績】当院で施行した生体肝移植151例(成人126例,小児25例)(2002.1-2016.11)のうち,門脈再建にREIV/LIJVの間置グラフト血管を16例 (10.6%)(REIV7例,LIJV9例)に使用した.膵悪性腫瘍に対しては158例(膵頭十二指腸切除133例,膵体尾部切除24例,膵全摘1例)(2005.2-2016.11)に門脈合併切除を併施し,このうち13例 (8.2%)に間置グラフト血管(REIV12例,LIJV1例)を使用し,肝門部領域胆管癌では36例(2004.1-2016.11)に門脈合併切除を併施し,そのうち4例 (11.1%)に間置グラフト血管としてREIVを使用した.間置グラフト非使用門脈吻合では,術後急性期に再手術やインターベンション治療を必要とした吻合部狭窄症例は,肝移植例3例(3/135: 2.2%),膵切除例2例(2/145:1.4%),肝門部胆管癌1例(1/32:3.1%)であったが,間置グラフト使用門脈吻合例33例(REIV23例,LIJV10例)では術後急性期の吻合部狭窄や血栓形成を認めていない.また,REIV23例中19例(82.6%)に左下肢の浮腫を認め,LIJV10例中8例(80%)に右顔面の浮腫を認めたが,全例術後2週間以内に改善した.
【結論】右外腸骨静脈ならびに左内頸静脈グラフト採取は安全に行うことが出来,肝胆膵悪性腫瘍に対する門脈再建においても有用であった.癌の浸潤範囲が広い場合などは,躊躇せず間置グラフト血管を使用した門脈再建を施行すべきと考えらた.
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