演題

大腸癌術後の予後予測因子としてのMELD-Na scoreの検討

[演者] 安藤 知史:1
[著者] 岡林 剛史:1, 長谷川 博俊:1, 鶴田 雅士:1, 石田 隆:1, 岩間 望:1, 鈴村 博史:1, 徳田 敏樹:1, 豊田 尚潔:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

<背景>
MELD scoreとMELD-Na scoreは,血清クレアチン濃度とPT-INR,血清ビリルビン濃度,血清ナトリウム濃度からなる指標であり,肝臓移植患者の重症度の判定や優先順位の決定に応用されている.大腸癌の転移好発部位は肝臓であること,転移が生じた場合の主な治療法は化学療法であることを踏まえると,MELD scoreと大腸癌の予後には何らかの関係があると考えられる.そこで,われわれはMELD scoreおよびMELD-Na scoreと大腸癌術後の長期予後の関係について検討した.
<対象・方法>
1995年1月から2012年12月までに当院で大腸癌に対して手術を施行した2153例を対象とした.MELD scoreおよびMELD-Na scoreは原発巣手術の直前の血液検査結果を用いて算出した.主要評価項目を全生存期間(OS)として,Cox比例ハザード分析を用いて統計学的解析を行った.
<結果>
男女比は男:1314例(61%),女:839例(39%),年齢の中央値は65歳(23-95)であった.観察期間の中央値は59.8か月(0.1-250)であった.MELD scoreの中央値は6.7(6.4-21.2)で,MELD-Na scoreの中央値は7.3(6.4-23.1)であった.単変量解析を行ったところ,MELD scoreおよびMELD-Na scoreのいずれにおいてもscoreとOSの有意な相関を認めた(それぞれHazard ratio(HR):1.10[1.06-1.15], p<0.01 ,HR:1.12[1.10-1.16], p<0.01).多変量解析を行ったところ,MELD scoreおよびMELD-Na scoreのいずれもOSにおいて独立した予測因子であった(それぞれHR:1.06[1.01-1.11], p=0.03,HR:1.05[1.01-1.09], p<0.01).また,時間依存性ROC曲線法によりMELD scoreとMELD-Na scoreの有用性を比較したところ,MELD-Na scoreの方が術後5年間において全体的に高いAUCを得ることができた.
<結語>
今回の結果から,MELD scoreおよびMELD-Na scoreが大腸癌術後の長期予後を予測する因子となることが示された.また,肝臓移植患者の重症度の判定と同様に,大腸癌術後の予後の予測においてMELD-Na scoreがMELD scoreよりも有用であることが示された.
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