演題

根治切除後の大腸癌の長期予後に対するMuscle depletionの意義: propensity score matchingを用いた検討

[演者] 末田 聖倫:1
[著者] 高橋 秀和:1, 原口 直紹:1, 西村 潤一:1, 畑 泰司:1, 松田 宙:1, 水島 恒和:1, 山本 浩文:1, 土岐 祐一郎:2, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ, 2:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

【はじめに】Muscle depletionは筋肉量低下を示すmyopeniaと筋肉内脂肪浸潤を示すmyosteatosisによって特徴づけられている. 大腸癌において, muscle depletionと短期成績との関連性を示す報告は散見されるが, 長期予後に関する報告はほとんどない. 【目的】根治切除を施行したStage I-IIIの初発大腸癌症例において, myopeniaおよびmyosteatosisが長期予後に影響を与えるかを明らかにすること. 【対象と方法】2010年1月~2011年12月に当科で外科切除を施行した大腸癌318例中, Stage I-IIIの初発大腸癌211例を対象として, 後方視的に検討した. さらにプロペンシティスコアを用いてmyopeniaとmyosteatosis各々において共変量を設定してマッチングを行った. CTによる画像解析は, 筋肉量とそのCT値を測定するために使用した. Myopeniaおよびmyosteatosisの長期的な予後における影響は単変量・多変量解析を用いた. 主要評価項目はがん特異的生存期間とした. 【結果】マッチング前211例中, myopenia群を105例 (49.8%), myosteatosis群を110例 (52.1%) に認めた. Myopenia群 / nonmyopenia群およびmyosteatosis群 / nonmyosteatosis群は両群間で年齢, 宿主の栄養状態や全身性炎症反応などの患者背景に差を認めた. 多変量解析において, myopeniaあるいはmyosteatosisはともにがん特異的生存期間 (hazard ratio (HR) 2.41; P = 0.04, HR 3.37; P < 0.01), 全生存期間 (HR 2.29; P = 0.03, HR 2.94; P < 0.01), 無病生存期間 (HR 2.87; P < 0.01, HR 2.73; P < 0.01) の独立した予後不良因子であった. またプロペンシティスコアにより, myopenia群51例 / nonmyopenia群51例およびmyosteatosis群53例 / nonmyosteatosis群53例がマッチングされた. マッチング後, myopenia群 / nonmyopenia群およびmyosteatosis群 / nonmyosteatosis群はともに両群間で患者背景に有意差は認めなかった. しかし, myopenia群はnonmyopenia群と比較して, がん特異的生存期間 (P = 0.03), 全生存期間 (P = 0.04), 無病生存期間 (P = 0.04)が有意に短かった. 一方, myosteatosis群もnonmyosteatosis群と比較して, 有意にがん特異的生存期間 (P = 0.02), 全生存期間 (P = 0.02)が短かった. 【まとめ】プロペンシティスコアマッチングを用いてbiasを極限まで減じて検討しても, Muscle depletion は根治切除を施行したStage I-IIIの初発大腸癌症例における長期的な予後不良因子であった.
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