演題

SY12-4

消化器外科医による顕微鏡下肝動脈再建:生体肝移植から肝胆膵外科への応用

[演者] 高槻 光寿:1
[著者] 原 貴信:1, 日高 匡章:1, 曽山 明彦:1, 夏田 孔史:1, 大野 慎一郎:1, 足立 智彦:1, 角田 順久:2, 飛永 修一:2, 江口 晋:1
1:長崎大学大学院 移植・消化器外科学, 2:長崎大学大学院 腫瘍外科学

背景と目的
当科では,生体肝移植開始当初は形成外科に顕微鏡下肝動脈再建を依頼していたが,早い段階から自科の消化器外科医が引継ぎ,以来生体肝移植以外の肝胆膵外科で動脈再建を要する症例も担当している.当科における消化器外科医による顕微鏡下肝動脈再建の手技と成績を報告する.
対象と方法
1997年8月より2016年12月まで施行した243例の生体肝移植症例の顕微鏡下動脈再建のうち,223例(92%)が消化器外科医によるものであった.吻合は実体顕微鏡を用い,8-0モノフィラメント非吸収糸を使用した.原則としてダブルクリップを用いず,吻合部を翻転せずに最背側から腹側へ順々に吻合していく手法(後壁法)により吻合した.レシピエント肝動脈が使用できない場合は右胃大網動脈を第一選択とした.また,同じ期間に12例の肝胆膵外科症例(肝門部胆管癌4例,肝内胆管癌2例,下部胆管癌2例,膵癌2例,肝細胞癌1例)に種々の理由で顕微鏡下肝動脈再建を施行した(肝切除6例,膵頭十二指腸切除3例,肝切除+膵頭十二指腸切除2例,膵全摘術1例).
結果
生体肝移植症例223例の年齢の分布は5歳未満5例(2.2%),5-18才5例(2.2%),18才以上213例(95.6%)と大半が成人例であった.13例(5.8%)に動脈合併症を認め(血栓7例,内膜剥離2例,出血2例,血流低下2例),形成外科医による再建20例中2例(10%(血栓1例,仮性動脈瘤破裂1例))と差を認めなかった.レシピエント肝動脈を用いない非解剖学的再建を20例(9.0%)に施行し(右胃大網動脈19例,左胃動脈1例),うち8例(40%)に術後合併症を認め通常の解剖学的再建症例より有意に多かったが(vs 5/203(2.5%), P<0.01) ,適切に対応することによりグラフト1年生存率に差はなかった(解剖学的再建80.5% vs 非解剖学的再建92.9%).肝胆膵外科症例12例中1例(肝切除+膵頭十二指腸切除)が術後胆汁漏からの肝不全で在院死したが,他の11例は肝不全に陥ることなく退院した.
まとめ
消化器外科医による顕微鏡下肝動脈再建は形成外科医によるものと成績に遜色なかった.胃の栄養血管を用いる非解剖学的再建や肝胆膵外科領域でも動脈再建を要する局面は多く,顕微鏡下肝動脈再建は消化器外科医も習熟しておいた方がよい手技である.
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