演題

腸閉塞をきたした虫垂原発混合型腺神経内分泌細胞癌の1例

[演者] 石川 倫啓:1
[著者] 上泉 洋:1, 辻 健志:1, 葛西 弘規:1, 許 理威:1, 羽田 力:1, 伊藤 浩二:1, 中島 保明:1
1:岩見沢市立総合病院 外科

症例は44歳男性.1年前から右下腹部痛を自覚していた.3か月前から嘔気,嘔吐,食事摂取量の低下があり,1年間で10kgの体重減少を認めていた.腹痛を主訴に前医を受診し,腸閉塞を疑われ,当院紹介となった.造影CTで虫垂周囲の高吸収値域と周囲リンパ節腫大を認めた.下部消化管内視鏡では虫垂開口部に一致した腫瘍と回盲部の全周性狭窄を認めた.生検ではGroup4,High grade dysplasiaだった.イレウス管による消化管内減圧を試み,第6病日に腸閉塞は改善したのでイレウス管を抜去した.全周性の狭窄はあるものの内視鏡の通過は可能で,排便もあることから,一旦経口栄養とした上で第19病日に待機的手術を施行した.審査腹腔鏡にてダグラス窩,小腸間膜および腹壁に腹膜播種を疑う白色結節を多数認めた.回盲部は虫垂を中心に一塊となって腫瘤を形成しており,虫垂癌を疑い開腹下に回盲部切除術を施行した.
病理組織学的に,虫垂粘膜には一部正常粘膜の残存を見るものの,多彩な腫瘍細胞の浸潤増殖が強く,粘膜下層から筋層への浸潤を認めた.脈管侵襲は軽度でリンパ節転移は認めなかった.組織型としてはsigが主体であるが粘液産生も強くmucも見られ,またその中にPaneth細胞を含むnest状の細胞集塊が見られ,goblet cell carcinoidを含んでいた.Ki-67 indexは51%と高値だった.免疫染色にてChromogranin AおよびSynaptophysinが陽性で,以上よりMixed adenoneuroendocrine carcinoma(MANEC,複合型腺神経内分泌細胞癌),T4b(SI;cecum,ileum),ly1,v0,N0,M1a(P),stage IVの診断となった.
MANECについては有効な化学療法は確立されていないが,高悪性度であり,また遠隔転移を有する症例であることから,術後化学療法としてCDDP+CPT-11を施行しており,術後3か月経過した現在,生存中である.虫垂原発のMANECは非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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