演題

当院で経験したLow-grade appendiceal mucinous neoplasmの9例

[演者] 篠田 智仁:1
[著者] 田中 千弘:1, 村瀬 佑介:1, 深田 真宏:1, 佐藤 悠太:1, 小森 充嗣:1, 木山 茂:1, 仁田 豊生:1, 河合 雅彦:1, 國枝 克行:1
1:岐阜県総合医療センター 外科・消化器外科

はじめに,Low-grade appendiceal mucinous neoplasm(LAMN)は2003年にMisdrajiらが虫垂粘液産生腫瘍の分類に初めて用いた名称で,組織学的に良性と思われても腹膜偽粘液種をきたし得る臨床的悪性像をもついわゆるborderline malignancyに相当する腫瘍である.
当院において直近3年間で9例がLAMNと診断されている.LAMNと診断された経緯は2つあり,①術前に虫垂粘液腫との診断で回盲部切除(開腹または腹腔鏡,D2リンパ節郭清以上)を行い術後病理検査にて診断された4例,②虫垂炎(急性あるいは慢性)との診断で虫垂切除術(緊急あるいは待機手術)を行い術後病理検査にて診断された5例である.いずれの症例も術中所見で虫垂の穿孔は見られなかったが,1例(②の症例)は術操作により虫垂根部の穿孔が生じた.また,いずれの検体も断端に明らかなLAMNの所見は認められなかった.①の症例では3ヶ月から半年ごとの経過観察を行っている.検査は全身CT検査のみであり術後下部内視鏡検査が施行された症例はなかった.現時点で4例とも再発は認められていない.一方で,②の症例では1例を除き半年から1年ごとの経過観察を行っている.3例で術後下部内視鏡検査が行われ虫垂開口部の粘膜生検を行ったがLAMNの所見は認められなかった.5例ともこれまで追加切除は行っていないが,再発は認められいない.
現在LAMNは大腸癌取り扱い規約第8版において低異型度虫垂粘液性腫瘍として新たに分類されるようになった.しかし,治療法に関しては明確なガイドラインが存在しない現状である.今回我々はLAMNを9例経験したため若干の文献考察を含め報告する.
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