演題

当院において切除後診断された虫垂腫瘍の検討

[演者] 前田 裕介:1
[著者] 戸田 重夫:1, 花岡 裕:1, 岡崎 直人:1, 平松 康輔:1, 建 智博:1, 富沢 賢治:1, 井下 尚子:2, 的場 周一郎:1, 黒柳 洋弥:1
1:虎の門病院 消化器外科, 2:虎の門病院 病理診断科

【はじめに】虫垂原発の腫瘍は,管状腺腫,低異型度粘液性腫瘍,内分泌腫瘍,管状腺癌,悪性リンパ腫など多彩である.虫垂切除術にあたり術前CT画像で炎症性か腫瘍性変化かを判別することは非常に困難であり,術後病理診断にて診断されることが多い.当院で施行された虫垂切除検体を検討した.
【対象と方法】2010年4月から2016年3月までの6年間に当院において虫垂炎あるいは虫垂粘液性腫瘍の診断で行われた虫垂あるいは回盲部切除390例について,臨床病理学的検討を行った.
【結果】最終病理診断は,急性虫垂炎例330例(84.6%),慢性虫垂炎25例(6.4%),低異型度粘液性腫瘍22例(5.6%),神経内分泌腫瘍4例(1.0%),管状腺癌1例(0.2%),その他9例(2.3%)であった.術式は開腹手術が8例(2%),腹腔鏡手術が382例(98%,術中開腹移行した症例が4例1%を含む)であった.術前画像にて粘液性腫瘍あるいは膿瘍を疑った症例は22例であり,残る368例中14例(3.8%)では明らかな腫瘤形成がなく急性虫垂炎の術前診断で虫垂切除術/回盲部切除を施行したが,腫瘍性病変との病理診断となった.内訳は,悪性上皮性腫瘍(管状腺癌1例,杯細胞カルチノイド(Goblet Cell Carcinoid:GCC):2例),粘液腫瘍9例,神経内分泌腫瘍4例(NET Grade1:1例,Grade2:1例)であった. GCCはいずれも術前に腫瘍性病変を指摘できず,追加切除を要した.低異型度虫垂粘液性腫瘍(LAMN)の4割は術前に腫瘤を確認できていなかったが,いずれも術中所見にて穿孔を認めず切除断端陰性であったため追加切除を行わなかった.再発例は認めていない.
【まとめ】虫垂切除術が行われた症例の91%は虫垂炎であったが,9%に腫瘍性病変が認められた.文献的に虫垂腫瘍切除例のうちGCCは0.02~1.5%,LAMNは1.1%程度といずれも稀であるが,術前診断がなされていない症例を多く含むことを手術施行時に念頭に置いておくことが重要である.さらに病理学的検討及び文献的考察を加えて報告する.
詳細検索