演題

当科における虫垂腫瘍の臨床病理学的検討

[演者] 谷口 理丈:1,2
[著者] 鯉沼 広治:1, 堀江 久永:1, 直井 大志:1, 井上 賢之:1, 森本 光昭:1, 佐久間 康成:1, 細谷 好則:1, 北山 丈二:1, 佐田 尚宏:1
1:自治医科大学 消化器・一般外科, 2:国立がん研究センター東病院 外科

はじめに
Low-grade appendiceal mucinous neoplasm(LAMN)は大腸癌取扱い規約第8版で新たに分類された虫垂粘液産生腫瘍の一型であり,WHO分類(2010)によると規約第7版の粘液嚢胞腺腫と粘液嚢胞腺癌のうち細胞異型が軽度のものが該当する.破裂等によって腹膜偽粘液腫を来たしうるborderline malignancy tumorであるが,一方未破裂状態での切除では予後良好とされ縮小手術も適応となると考えられる.また術前の問題点として虫垂癌との鑑別が重要である.今回当科で経験した虫垂原発腫瘍を検討し,主にLAMNと虫垂悪性腫瘍の術前診断,予後を検討した.
方法と目的
2006年1月から2016年10月までに,当科で外科的切除治療が行われた虫垂腫瘍28例について臨床病理学的検討を行った.
結果
虫垂腫瘍28例の内訳はLAMN14例,虫垂癌10例,子宮内膜症2例,NET(G2)1例,gobletcell carcinoid1例であった.LAMN14例は男女6:8,年齢27-91歳(中央値71).主訴は腹痛5例,腹満1例,無症状8例.CEA上昇2例(14%),CT検査における腫瘍長径11-132mm(中央値52),虫垂嚢胞性病変14例(100%),壁在石灰化8例(57%),充実成分やリンパ節腫大は認めなかった.術式は回盲部切除9例,盲腸部分切除3例,虫垂切除2例.術後観察期間は1~115ヵ月(34)で,無再発生存13例,腹膜偽粘液腫の1例は2年生存中である.虫垂癌10例は男女3:7,年齢41-90歳(67).主訴は腹痛4例,黒色便・下血2例,便潜血1例,無症状3例.CEA上昇6例(60%),腫瘍長径6-43mm(中央値16),壁在石灰化2例(20%),リンパ節腫大3例(30%)であった.術前診断が虫垂癌であったのは7例で,方法は内視鏡生検6例,PET1例,残る3例は虫垂炎の診断であった.術式は,回盲部切除9例,結腸右半切除1例.術後観察期間は4-60ヵ月(36)で,無再発生存5例,原病死5例であった.

まとめ
虫垂腫瘍は癌と非癌の鑑別,特にLAMNと虫垂癌の鑑別が重要である.LAMNはCT検査で全例に嚢胞性病変を認め,虫垂癌と比較して長径が長く,壁在石灰化が多い傾向にあった.虫垂癌は術前に生検やPET,リンパ節転移など悪性を示唆する所見が得られる場合があり,疑われる場合は十分な術前検査が必要である.穿孔や破裂のないLAMNの予後は良好であり,術前にLAMNの可能性が高い場合は縮小手術も選択可能と考えられた.
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