演題

当院における直腸癌に対するロボット支援下手術の導入

[演者] 間 浩之:1
[著者] 小井土 耕平:1, 幸本 達矢:1, 小関 佑介:1, 大島 健志:1, 渡邉 昌也:1, 大端 考:1, 金本 秀行:1, 大場 範行:1, 高木 正和:1
1:静岡県立総合病院 外科

da Vinci Surgical Systemは自由な関節可動や手ぶれ防止機能,高解像度3D画像などの特長を有する.骨盤内の制限された狭い空間で癌の根治性と機能温存を両立しなければならない精密な操作を要する直腸癌の手術には適したツールと考える.【目的】当科では2016年7月からロボット支援下手術を導入した.今回その導入経過と初期成績を検討し,安全性について明らかにする.【導入経過】日本内視鏡外科学会の「内視鏡手術支援ロボット手術導入に関する提言」に基づき,術者要件を満たした2016年4月から導入に着手した.院内倫理委員会の承認を取得後,5月に実機練習,6月にアニマルラボと施設見学を経てCertificateを取得した.また並行して指導施設での症例見学を重ねた.【方法】2016年7月から2016年12月までに直腸癌に対してロボット支援下手術を施行した7例を対象にした.手術手順は指導施設を踏襲し,Single docking法でロボットの腹部操作と骨盤操作でポート配置を変更した.小開腹下に検体を摘出し,吻合操作は腹腔鏡下に施行した.【結果】初回から3例は指導医を招聘した.年齢中央値は65歳(49-71),男:女は5例:2例,平均BMIは22.7(21.1-25.2).占居部位はRSが1例,Raが4例,Rbが2例.術式は低位前方切除術が4例,低位前方切除術+回腸Stomaが2例,腹会陰式直腸切断術(APR)が1例.平均手術時間は309分(246-395)(手術準備時間:35分,コンソール操作時間:212分,再建時間:68分,いずれも平均値),出血量は中央値0ml(0-50).病理所見は,腫瘍最大径中央値45mm(10-60),pT1b:pT3が2例:5例,pN0:pN1が6例:1例,pStageI:pStageII:pStageIIIaが2例:4例:1例であった.術後合併症はAPR施行例にClavien-Dindo分類の創感染GradeII,創離開GradeIIIaを認めた.術後在院日数は中央値8日(7-15).【考察】今回,ロボット特有の合併症は認めず安全に導入を行うことができた.ロボット支援下手術はその利点を活かすことで,質の高い手術を提供できる可能性がある.特に骨盤内操作では適切な層に対して自由で細かな鉗子操作により,癌の根治性と機能温存の向上につながる感触が得られた.ただし鉗子操作は術者主体になるため,術野展開の難しさや鉗子同士の衝突などの課題を認めた.指導医招聘の際には,デュアルコンソールを使用することで腹腔鏡下手術より教育面で優れていると考えられた.今後さらに症例を積み重ね,手術の質を高める必要がある.
詳細検索