演題

直腸癌に対する術前化学放射線療法の末梢血リンパ球数による効果予測

[演者] 土屋 剛史:1
[著者] 八木 貴博:1, 塚本 充雄:1, 赤羽羽 拓弥:1, 島田 竜:1, 端山 軍:1, 岡本 耕一:1, 野澤 慶次郎:1, 松田 圭二:1, 橋口 陽二郎:1
1:帝京大学附属病院 外科

【はじめに】下部直腸癌に対する術前化学放射線療法 (CRT) の効果予測に,末梢血リンパ球が有用であるとの報告があるが,その機序や関連について,まだ不明な点が多い.
【目的】術前CRT施行前と治療開始1週間後の末梢血リンパ球数を比較し,治療効果との関連を検討すること.また,リンパ球の減少率と予後との相関についても検討を行った.
【対象】2008年5月から2016年5月までに,術前CRTを開始し,その後,手術を施行した,進行直腸癌58例.但し,治療開始1週間後 (±1日) の採血データが欠損していた症例は除外した.
【結果】平均年齢62.8 (42-80) 歳.男性44例,女性14例.治療前進行度は,StageⅡ/Ⅲa/Ⅲbが27/20/11例であった.術前照射は45-50.4Gy (1.8Gy×25-28回)行い,併用化学療法は,SOX 29例,UFT/LV 26例,IRIS 2例,TS-1 1例であった.術式は,低位前方切除術39例,括約筋間直腸切除術10例,腹会陰式直腸切断術9例であった.原発巣の組織学的効果は,Grade 1a/1b/2/3が15/13/22/8例.最終の病理学的進行度は,Stage 0/Ⅰ/Ⅱ/Ⅲa/Ⅲbが1/13/23/10/5例で,CRが6例であった.術前CRT施行前のリンパ球数は,CRTの組織学的効果Gradeによらず,差を認めなかった.一方,CRT開始1週間後のリンパ球数は,Grade 1a症例では治療開始前の67.9%まで減少していたが,Grade 3症例では80.2%までの減少にとどまっていた (P=0.20).そこで,CRT開始1週間後のリンパ球減少率を平均値で2群に分け,予後との比較を行った.リンパ球数が70%未満に低下した群では,再発率が34.3% (12/35例) であったが,70%以上に維持されていた群では,再発率が8.7% (2/23例) であった (P=0.03).また,死亡率はそれぞれ,11.4%,4.3%であった (P=0.64).
【結論】CRT治療開始1週間後の末梢血リンパ球数が高く保たれている症例では組織学的効果が高く,再発率が低かった.末梢血リンパ球数の効果予測因子としての有用性が示唆された.
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