演題

局所進行下部直腸癌に対する術前補助化学療法におけるMRI評価に基づく病理学的リンパ節転移陰性予測の検討

[演者] 関戸 悠紀:1
[著者] 西村 潤一:1, 高橋 秀和:1, 原口 直紹:1, 畑 泰司:1, 松田 宙:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

【はじめに】
腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にあり,かつ,固有筋層を超えて浸潤している癌の側方リンパ節(LLN)転移率は20.1%(側方郭清例のみ)とされ本邦では側方郭清(LLND)が標準術式であるが,合併症として術後の排尿障害や性機能障害が問題となることがある.近年局所進行下部直腸癌に対して強力な術前補助化学療法(NAC)による局所および遠隔転移制御が期待されており,当科でもcT3以深あるいはcN+の局所進行下部直腸癌に対して臨床試験としてoxaliplatinを含むレジメンでのNAC後にTMEおよびLLNDを施行しており,NACを行うことでLLNDが省略できる可能性が期待されている.
【目的】
局所進行下部直腸癌に対するNAC症例においてMRIによるNAC前後でのリンパ節径の評価と組織学的効果判定および病理学的リンパ節転移評価との関連を検討すること.
【方法】
当施設で2012年6月以降にcT3以深あるいはcN+の局所進行直腸癌に対してNAC後に手術を行った症例についてカルテレビューを行い,NAC前後のリンパ節最大短径,組織学的効果判定,病理学的リンパ節転移評価および臨床的背景について検討した.MRIのT2強調像で短径5㎜以上を陽性とし,同一の外科医による計測を行った.組織学的効果判定は大腸癌における薬物療法ならびに放射線療法の効果判定基準(大腸癌研究会)に基づき当院病理診断科医によりなされた.
【結果】
NACを施行した全36例では全例にoxaliplatinを含むレジメンでのNAC後に,TME+LLND,中枢側D3郭清,R0手術が行われた.NAC前後にMRI検査が行われなかった2例を除くとcN+は25例ycN0(陰転化)は16例(64%)で得られ,組織学的効果判定はResponderが7例(44%)でypN+は3例(19%)であった.ycN+の9例(36%)ではResponderは0例でypN+は8例(89%)であった. cN+のうち臨床的LLN陽性は9例で,4例で陰転化が認められ病理学的LLN陽性は1例であった.陰転化が認められない5例では全例で病理学的LLN陽性であった.cN0の9例は全例pN0 で,cT3N1の1例で病理学的LLN陽性を認めた.
【考察】
NACを行ってMRI上陰転化した症例では実際にypN0が多い傾向があった.陰転化群では組織学的効果判定も良好な傾向があり, NACの寄与が考えられた. LLNにおいても陰転化群はypN0が多く組織学的効果判定も良好な傾向が認められた.
【結論】
局所進行下部直腸癌症例においてNACを行うことで,臨床的LLN陰性例はもちろん陽性例であってMRI上転移陰性を得られた症例ではLLNDが省略できる可能性がある.
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