演題

SY12-1

生体肝移植における技術革新・標準化と教育が移植成績に及ぼす影響

[演者] 副島 雄二:1
[著者] 吉住 朋晴:1, 池上 徹:1, 播本 憲史:1, 原田 昇:1, 伊藤 心二:1, 本村 貴志:1, 長津 明久:1, 池田 哲夫:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学

【目的】当科における生体肝移植プログラムは開始後20年が経過し,末期肝不全の根治治療として完全に日常診療化し,以前の技術革新・標準化フェーズから今や若手肝胆膵外科医への教育フェーズへと完全に軸足を移している.これまでの技術革新・標準化・教育が移植成績に及ぼす影響について評価した.
【方法】2015年12月までの成人生体肝移植530例を対象とした.移植時期により5年毎にI期(1996-2000, n=41),II期(2001-2005, n=140),III期(2006-2010, n=149),IV期(2011-2015, n=200)に分類し,レシピエント・ドナー成績を比較した.左葉グラフトを第一選択とし,技術革新としてはII期:3DCT(2001),胆管胆管吻合(2001),右葉グラフト(2001),中肝静脈枝再建(2001),high hilar胆管切離(2004),III期:摘脾(2005),早期経腸栄養(2006),IV期:予防的両側胸腔ドレーン留置(2011)を導入・標準化した.またIV期ではレシピエント手術の90%以上を修練医が術者として担当した.ドナー手術は全期間指導医が担当した.
【結果】グラフトタイプ(n, 左葉/右葉/後区域/デュアル)はI期(37/4/0/0),II期(82/58/0/0),III期(91/53/5/1),IV期(102/93/5/0)であった.グラフトサイズ,MELDスコア,手術時間,出血量は各群で有意差なかった.摘脾の割合はI期:4.9%,II期19.3:%,III期:72.7%,IV期:67.7%(p<0.001),閉腹時門脈圧は24.0/18.2/15.6/16.3mmHg(p<0.0001)でIII期・IV期で有意に低かった.各群の1年/5年/10年患者生存率はそれぞれI期:82.9/73.2/68.1%,II期:82.9/72.1/64.9%,III期:89.3/81.8/80.3%,IV期:90.4/86.4/NA%でIII-IV期で有意に改善した(p<0.01).さらに各期における過小グラフト症候群の頻度(I/II/III/IV期:31.7/18.6/16.0/6.1%,p<0.0001),敗血症(17.1/20.0/9.5/2.0%,p<0.0001),胆管狭窄(34.1/23.6/16.0/13.9%,p<0.05)の頻度はIII期,IV期で有意に低下した.ドナーにおいては,手術時間(p<0.001),出血量(p<0.0001),術後最高ビリルビン値(p<0.0001),全合併症率(p<0.0001)がI-III期に比較しIV期で有意に低下した.
【結論】新規手術手技・術後管理の導入・標準化により,若手修練医術者の頻度は増加したにも関わらず合併症頻度は減少し,患者生存率は改善した.
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