演題

局所進行直腸癌に対する術前治療戦略の現状と問題点

[演者] 杉山 雅彦:1
[著者] 沖 英次:1, 中西 良太:1, 藏重 淳二:1, 中島 雄一郎:1, 佐伯 浩司:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学病院 第2外科

【はじめに】長期成績向上,機能温存などの観点から局所進行直腸癌に対して化学療法や放射線を用いた術前治療が注目されている.
【対象・方法】2011年2月から2016年1月までの間に,術前診断T3以深,遠隔転移を持たない直腸癌症例124例のうち術前治療を行った31例を対象に術前治療の詳細,治療効果,有害事象,予後について検討を行った.
【結果】31例のうち,男性は23人(74%),平均年齢は60歳(39-79歳),PS0:22例(71%),1:9例(29%)であった.腫瘍の位置はRs:3例(9%),Ra:12齢(39%),Rb:16例(52%)であり,臨床的深達度はcT3:24例(77%),cT4:7例(23%),臨床病期はcStageII:16例(52%),IIIa:5例(16%),IIIb:10例(32%)となっていた.術前治療として化学放射線療法(CRT)が行われたのが8例(26%),化学療法のみが23例(74%)であり化学療法群は全例l-OHPまたはCPT-11を含む5-FUベースのレジメンであった.術前治療による有害事象を18例(58%)に認め,このうちGrade3の有害事象を5例(16%)に生じ,予定量の治療を完遂した症例が23例(74%)であった.CTにて腫瘍縮小が得られたのが8例(26%)であり,手術直前のCEA値が治療前値よりも低下した症例が23例(74%)であった.全例で根治度Aの手術が施行でき,組織学的治療効果判定ではGrade1a:14例(45%),1b:7例(23%),2:7例(23%),3:1例(3%),評価無2例であった.肛門温存が可能であったのが18例(58%),術後にさらに化学療法を行ったものが17例(55%)であった.術後再発を5例(16%)にみとめ,再発部位は肺2例,肝臓1例,リンパ節1例,局所(尿道)1例であった.5年無再発生存率は81%,5年生存率は91%と良好であった.CEA低下有症例の再発率は9%,CEA変化無症例:37%(p=0.0565)であり,病理効果Grade2-3の再発率は0%,Grade1-2:21%(p=0.0690)と有意差はないものの関連が示唆された.
【結語】局所進行直腸癌に対する術前治療はおおむね良好な治療効果を有していた.術前治療前後のCEA変化と,組織学的治療効果が術後再発と関連しうると考えらえれた.
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