演題

人工肛門造設に術前化学療法を施行し根治手術を施行した進行結腸直癌症例の検討

[演者] 木村 明春:1,2
[著者] 小澤 大吾:1, 小川 敦:1, 深井 康幸:1, 持田 泰:1, 尾嶋 仁:1, 桑野 博行:2
1:群馬県立がんセンター 消化器外科, 2:群馬大学大学院 病態総合外科学

【背景】手術治療や化学療法の進歩により大腸癌患者の予後は改善されているが,進行結腸直腸癌の予後については未だ不良である.局所進行型や腹膜播種,遠隔転移や高度のリンパ節転移を伴う症例については化学療法が選択される.術前化学療法に対する明確なエビデンスは存在しないものの,近年では術前化学療法後に根治手術を行った症例も散見される.また進行結腸直腸癌に対する術前治療の問題点として,局所病変の増大により腸閉塞を来す可能性が高く,化学療法前に人工肛門の造設が必要になる.しかしながら,人工肛門造設状態の患者における,術前化学療法の安全性や有効性については明らかではない.今回,進行結腸直腸癌に対して人工肛門造設後に化学療法を行い,原発巣切除を施行した症例について検討を行った.
【方法】2014年1月から2016年6月の間で,根治切除が不可能な進行結腸直腸癌と診断され,人工肛門を造設し化学療法を施行した25例を対象とした.術前化学療法の有害事象および手術の短期成績について検討を行った.
【結果】人工肛門造設後に化学療法を施行した25例のうち,10例に化学療法後に原発巣切除を施行した.10例の患者背景は,年齢中央値64.5歳(50-77歳),腫瘍位置は上行結腸1例,横行結腸1例,S状結腸1例,直腸7例 (Rs 1例,Ra 5例,Rb 1例)であった.非切除因子(重複含む)は,腫瘍の他臓器浸潤5例,リンパ節転移5例,肝転移2例,腹膜播種1例であった.術前の化学療法はmFOLFOX6 6例,mFOLFOX6+Bevacizumab 1例,mFOLFOX6+Panitumumab 1例,FOLFOX7 1例,FOLFIRI+Cetuximab 1例で,治療期間は6―11コースであった.化学療法中のグレード3以上の有害事象(重複含む)については,好中球減少3例,末梢神経障害1例,食欲不振1例,肝機能障害1例であった.原発巣切除の術式は,回盲部切除1例,右半結腸切除1例,前方切除2例,低位前方切除6例であった.R0切除は9例(90%)であり,6例の患者は人工肛門閉鎖を行った.術前化学療法の組織学的効果はGrade Ia 4例,Ib 6例であった.術後合併症は創感染1例,イレウス1例であった.
【結語】根治切除が不可能な進行結腸直腸癌に対して,人工肛門造設状態でも比較的安全に化学療法を行うことができ,治療が奏効した場合には根治切除を施行できた.今後,進行結腸直腸癌に対する術前化学療法について無作為化比較試験を含めたさらなる検討が必要である.
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