演題

下部進行直腸癌における術前化学療法と術前化学放射線療法の比較:propensity scoreを用いた予後の検討

[演者] 瀧山 博年:1
[著者] 川合 一茂:1, 石原 聡一郎:1, 大谷 研介:1, 西川 武司:1, 田中 敏明:1, 清松 知充:1, 畑 啓介:1, 野澤 宏彰:1, 渡邉 聡明:1
1:東京大学大学院 腫瘍外科学

背景
下部進行直腸癌に対する治療戦略として欧米においては早くから術前放射線療法(RT)ならびに化学療法を併用する術前化学放射線療法(CRT)が導入された.当科に於いても,1980年代よりRTを導入し,2000年代よりCRTを導入している.RTに比べてCRTは局所再発率を低減するものの,遠隔再発率には差がないとする報告が一般的である.
目的
RTまたは CRTを施行した下部進行直腸癌の術後の予後に関する検討を行い,両治療群の治療成績の特徴を明らかにする.
方法
当科において1986年~2014年にRTを行った221症例と,CRTを行った253例の予後を再発形式(局所再発・遠隔再発)別に比較検討を行った.RTは全50~50.4Gyを25~28回分割照射,CRTでは主にtegafur-uracil+leucovorinを併用した.背景因子の違いをpropensity scoreを用いて調整した.
結果
Stage II症例においては,RT群に比してCRT群において5年局所再発率の改善を認めた(CRT 3.0% vs. RT 14.8%, p = 0.002, Fig A).対して,Stage III症例においては,RT群に比してCRT群において5年遠隔再発率の改善を認めた(CRT 27.8% vs. RT 42.6%, p = 0.04, Fig B).Stage III症例では,5年無再発率はCRT群において64.2%,RT群において48.3%であり,有意差を認めた(p = 0.03).
結語
RTに化学療法を併用することで,Stage II症例では局所再発率の改善,Stage III症例においては遠隔再発率の改善が見られ,化学療法の上乗せ効果は両群で異なることが示唆された.

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