演題

直腸癌に対する術前化学療法・化学放射線療法の検討

[演者] 神山 博彦:1
[著者] 呉 一眞:1, 丹羽 浩一郎:1, 石山 隼:1, 杉本 起一:1, 冨木 裕一:1, 福永 哲:2, 梶山 美明:2, 川崎 誠治:2, 坂本 一博:1
1:順天堂大学附属順天堂医院 大腸・肛門外科, 2:順天堂大学附属順天堂医院 消化器外科

【はじめに】進行直腸癌に対する術前治療の有用性の報告が増えている.当科で直腸癌に対する術前化学療法(NAC)および術前化学放射線療法(NACRT)を行った症例について検討した.
【対象・方法】2009年4月から2016年9月までに直腸癌に対する術前治療を行った症例を対象とした.当科ではNACは2012年1月より,NACRTは2009年4月より導入している.
術前診断でT3以上,N1以上,M1以上の直腸癌症例 に対しては原則的に術前治療を行っている.但し,遠隔転移を伴う局所進行直腸癌症例では,原発巣・遠隔転移巣ともR0切除が可能な場合は,手術治療を優先させている.術前治療法の選択は原則的に,肛門温存の可能性がある場合または遠隔転移症例にはNACを,肛門温存の可能性が低い場合またはT4症例ではNACRTを選択している.NACは原則的にFOLFOXを6コース施行している.分子標的薬については遠隔転移症例以外には術前治療では原則的に使用していないが,遠隔転移症例に対しては遺伝子プロファイルに応じて使用している.NACRTはS-1併用で41-45Gyの照射を行っている.術前治療の前に便路変更が必要な症例には,人工肛門造設術の後にNACまたはNACRTを行っている.
【結果】NACは33例,NACRTは28例に行われた.男女比は,22:11,21:7と男性に多かった.占居部位(RS:Ra:Rb)は,4:7:22,0:6:22であった.術前病期(Ⅱ:Ⅲ:Ⅳ)は,8:14:11,18:9:1であった.術式(Hartmann手術:低位前方切除術:直腸切断術:内括約筋切除術)は,2:14:14:3,1:7:18:2であった.術前治療の効果判定(CR:PR:SD:PD)は,2:23:6:2,0:21:6:1で,奏効率は両群 とも75%であった.切除検体における組織学的治療効果判定(grade 0:1a:1b:2:3)は,1:9:12:8:3,1:4:8:13:2で,grade 2以上の割合は33.3%,53.6%とNACRTに高かった.分子標的薬は13例(39%)に使用された(Bevacizumab:9例,Cetuximab:4例).NACで分子標的薬使用例 の奏効率は84.6%で,分子標的薬不使用例は70%であったが,分子標的薬の有無と組織学的治療効果gradeに相関は認められなかった.
【考察】直腸癌に対する術前治療の効果判定では有用性が示唆されたが,さらなる症例の集積と長期成績の解析および治療戦略の改良が必要である.
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