演題

術前化学放射線療法が有効であった痔瘻癌の一例

[演者] 清水 洋祐:1
[著者] 檜井 孝夫:1, 清水 亘:1, 三隅 俊博:1, 井上 雅史:1, 伊禮 俊充:1, 尾上 隆司:1, 鈴木 崇久:1, 首藤 毅:1, 田代 裕尊:1
1:呉医療センター・中国がんセンター 外科

はじめに
痔瘻癌に対しる化学放射線療法の効果については,いまだ報告例が少なく定かでない.今回我々は,術前化学放射線療法(CRT)の後,局所根治できた症例を経験したので報告する.
症例
数年の痔瘻の既往を有する60歳男性.疼痛増悪のため2016年6月近医で痔瘻に対し手術施行.手術時に痔瘻癌が疑われためdrainage及び粘液細胞診(mucinous adenocarcinoma)のみにとどめ,手術目的に当科紹介となった.術前CT, MRI, PET-CTでは,右鼠径部に非腫瘍性のリンパ節腫大を指摘されたが,その他のリンパ節転移および遠隔転移は認めなかった.腫瘍は7.9×4.1×8.0㎝と大きく,右側では肛門挙筋浸潤が疑われた.下部消化管内視鏡では病変を認めなかった.痔瘻癌cT4b(肛門挙筋)N0H0P0M0 stageIIと診断した.
治療
剥離面陽性となることを危惧し,CRT(50.4Gy/28fr, TS-1: 120mg/body:2投1休×2)を行った.G1~2の放射線皮膚炎およびTS-1による薬疹を認めたが,治療完遂可能であった.腫瘍は5.7×3.5×6.0cmまで縮小し,腫瘍縮小率は25%で治療効果はstable disease (SD)と判定された.CEAは9.8から2.6まで正常化した.8週後,腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術+皮弁形成術を行った(手術時間514分,出血量160g).切除断端はいずれも陰性で鼠径リンパ節を含めリンパ節転移は認めなかった.組織学的進行度はType5, 6.3×2.7×3.3cm, ypT3, ly0, v0, N0 (0/15), stageIIで,腫瘍の大部分は粘液のみ残存し癌細胞は広範囲で消失しておりCRTの組織学的治療効果はGrade2と判定された.術後経過良好で第23病日に退院となった.
結語
局所進行痔瘻癌に対してCRTが有効であった症例を経験した.文献考察ともに報告する.
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