演題

StageIV大腸癌における姑息的手術の意義

[演者] 八木 泰佑:1
[著者] 坂本 快郎:1, 内原 智幸:1, 中村 健一:1, 大内 繭子:1, 澤山 浩:1, 岩槻 政晃:1, 馬場 祥史:1, 吉田 直矢:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

【背景】症状を伴わないStageIV大腸癌に対して化学療法前に姑息的手術を行うことに関する明確な回答はなく,術式についても原発巣切除や人工肛門造設術,バイパス術など未だに一定の見解が得られておらず,臨床では治療方針の決定に苦慮することも少なくない.
【目的】StageIV大腸癌に対する姑息的手術の意義を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】2005年4月から2015年12月までに当院で化学療法を導入したStageIVの大腸癌症例237例のうち,根治的切除を施行した症例,治療拒否症例,放射線療法症例を除いた139例を対象とし,その背景因子および腫瘍因子,術式と予後との関係を単変量解析・多変量解析を用いて検討した.また,手術先行群と化学療法群にわけて生存曲線を描き比較した.
【結果】年齢の中央値は63歳 (34-82歳)で,男性83例,女性57例,原発部位は右側結腸46例,左側結腸94例であった.139例中80症例で複数臓器への転移を認めた.82例では化学療法を先行し,57例に化学療法に先立って手術を施行した (原発切除45例,人工肛門造設術9例,バイパス術3例).一次治療のレジメンはオキサリプラチンベースが最も多く116例,イリノテカンベース15例,その他は8例であった.53例では抗癌財のみが投与され,分子標的薬剤は86例に併用されていた(Bevacizumab 68例,Cetuximab 9例,Panitumumab9例).化学療法を先行した症例のうち20例(24.3%)に閉塞や出血などの症状を認め,手術を施行した.化学療法を中断して手術を施行した20例のうち,化学療法を再導入できたのは16例(80%)であり,手術後のMSTは10.6か月であった.手術先行群と化学療法先行群の二軍間に分けて比較すると,その背景因子には有意差を認めなかった.単変量解析では性別,手術先行症例が予後予測因子として抽出され,多変量解析では手術先行(p=0.013,OR:0.24,95%CI:0.09-0.77 MST:19.8か月)が独立した予後因子として抽出された.手術先行群と,化学療法先行群に分けてKaplan-Meier法で生存曲線を描くと,有意差をもって手術先行群で予後の延長を認めた(p=0.005).
【まとめ】手術先行群では化学療法先行群と比較して予後良好であった.一方で化学療法を中断して手術を施行した症例では化学療法の再導入率は80%と低率であり,MSTは10.6か月であった.
【結語】StageIV大腸癌において手術先行症例は良好な予後を得ることができる可能性がある.
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