演題

StageIV大腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術の短期成績

[演者] 松本 辰也:1
[著者] 栗生 宜明:1, 有田 智洋:1, 村山 康利:1, 中西 正芳:1, 小菅 敏幸:1, 小西 博貴:1, 森村 玲:1, 小松 周平:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学附属病院 消化器外科

【はじめに】近年,大腸癌に対する腹腔鏡下切除術は従来の開腹手術と比較して整容性に優れ低侵襲であるとして標準手術となりつつある.しかしStageIV大腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術の有効性と安全性は十分に確立されていない.そこで,StageIV大腸癌に対する腹腔鏡下手術と開腹手術の短期成績について比較検討した.
【対象】当科で進行大腸癌へ腹腔鏡下手術を適応拡大した2007年6月から2016年11月までの原発性大腸癌症例は1416例であった.StageIV症例は186例で,このうち原発巣切除のみを施行した137例について検討した.減圧不能イレウス症例,高度の他臓器浸潤症例は腹腔鏡下手術の適応外とした.うちわけは腹腔鏡下手術100例,開腹手術37例であった.腹腔鏡群のうちで,開腹移行したのは14例(14%)であった.それぞれの群で手術部位,手術時間,術中出血量,術後在院日数,術後合併症など短期手術成績について後方視的に比較検討した.
【結果】背景因子では年齢,性別,局在(結腸/直腸比),壁深達度(T因子),術前CEA値において両群間に有意差を認めなかった.手術時間や郭清度,全生存期間では有意差を認めなかったが,出血量では腹腔鏡下手術の方が有意に少なく(中央値28.5g vs 280g,p<0.001),また食事開始までの期間(3日 vs 4日,p<0.001),術後在院日数(16日 vs 20日,p=0.014),術後合併症の有無(19% vs 45.9%,p=0.001)も腹腔鏡下手術の方が有意に良好な成績であった.また,術後に化学療法を施行した105例において,化学療法開始までの期間において腹腔鏡群の方が有意に短い結果であった(39日 vs 45日,p=0.043).
【まとめ】当科の検討では,StageIV大腸癌に対して腹腔鏡下手術が安全に行え術後の経過も比較的良好であり,またそれにより早期に化学療法が施行できる可能性が示唆された.しかし症例数が少ないため,今後症例の蓄積により,さらなる検討が必要であると考えられた.
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