演題

消化管通過障害と切除不能同時性転移巣を有する大腸癌における原発巣切除の検討

[演者] 大原 佑介:1
[著者] 榎本 剛史:1, 久倉 勝治:1, 明石 義正:1, 小川 光一:1, 倉田 昌直:1, 小田 竜也:1, 大河内 信弘:1
1:筑波大学医学部 消化器外科・臓器移植外科

【背景】切除不能の転移を有する大腸癌の治療の中心は化学療法であり化学療法を速やかに導入することが患者の予後に寄与すると考えるが,原発巣による通過障害を有する大腸癌の場合通過障害を解除し経口摂取が可能にならないと安定した化学療法が施行できない.原発巣切除は通過障害の解消のみならず術後化学療法時の原発巣の出血穿孔のリスクを減ずるなどの利点があるが,欠点として化学療法の導入が遅れ転移巣が増大すること,周術期合併症や患者の体力消耗により化学療法の導入が困難となることがある.今回われわれは,原発巣の通過障害と切除不能の同時性転移巣を有する大腸癌に対して,原発巣切除を施行した症例を解析し問題点を明らかにする.
【方法】2013年1月から2016年7月までの症例をretrospectiveに解析した.患者は切除不能の同時性転移を有する大腸癌の症例で,通過障害をきたしている症例とした.人工肛門造設やステント留置などを施行している症例は除外した.
【結果】症例は16例,平均年齢67歳,男性8例,女性8例であった.切除不能転移巣は肝転移が15例であった.原発巣は盲腸2例,上行結腸6例,S状結腸6例,直腸2例であった.腹腔鏡手術は9例に施行された.平均手術時間225分,平均出血量121ml,平均術後在院日数11日であった.術後に化学療法を導入できたのは14例で,手術から導入まで51日であった.手術から化学療法導入までの間に12例において既存の転移巣が増大し,4例に新規病変が出現した.一方で化学療法を導入できなかった症例は2例あり,それぞれ術後呼吸不全と肝不全により死亡した.Clavien-Dindo GradeII以上の合併症は3例であった.
【考察】今回の検討では手術から化学療法までの導入が2か月弱となることがわかり,人工肛門造設のみの患者と比較したところ長かった.多くの症例で化学療法導入時には術前より癌の進行度が増していた.また高度担癌状態であることから周術期合併症が比較的高率であり,重症例では化学療法の導入ができなかった.原発巣切除を行う場合は,化学療法開始までに大腸癌が進行し全身状態が増悪することを予想したうえで適応を判断する必要がある.
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