演題

Stage IV大腸癌の外科治療戦略

[演者] 大沼 忍:1
[著者] 唐澤 秀明:1, 渡辺 和宏:1, 工藤 克昌:1, 阿部 友哉:1, 長尾 宗紀:1, 武者 宏昭:1, 元井 冬彦:1, 内藤 剛:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

【目的】Stage IV大腸癌に対する治療成績を明らかとし,その治療方針を考察する.【対象と方法】2008年から2016年に当院で初回治療を施行したStage IV大腸癌117例 (結腸癌:80例,直腸癌:37例,男:女=65:52,年齢中央値66歳(34-89))を対象とし,原発巣切除の有無,肝切除の有無に分けて予後を解析した.【結果】Stage IV因子は,肝転移85例(72.6%; H1: 43, H2: 17, H3: 25),播種40例(34.2%; P1: 18, P2: 7, P3: 15),肺転移26例(22.2%; PUL1: 19, PUL2: 7),遠隔リンパ節転移14例(12.0%),骨転移3例(2.6%),脳転移1例(0.9%)であった(重複あり). 117例中,原発巣切除が99例(84.6%)に施行され,人工肛門造設あるいはバイパス術な姑息手術が18例(15.4%)に施行されていた.117例全体の3年,5年生存率,MSTはそれぞれ48.4%,34.4%, 35.8ヶ月であった.さらに,原発巣切除群は姑息手術群に対して有意に予後良好であった(3年,5年生存率:切除群53.1%, 37.8% VS姑息群14.0%, 0%, P < 0.0001).原発切除を行なったStage IV 99例中,肝切除は29例(29.3%)に施行されていた.29例の内訳は,H1: 20例,H2: 6例,H3: 3例であった.また,同時性切除が11例(全てH1),異時性切除が18例(H1:9例,H2:6例,H3: 3例)であり,肝切除例の70%をH1症例が占め,原発巣と同時に切除される傾向にあった.一方,肝切除を行なったH2, H3症例は全て異時性切除であった.肝転移切除群の予後は非切除群に対して有意に良好であった(3年生存率:肝転移切除群74.0% VS 非切除群41.5%, P = 0.0007).肝転移の切除時期に関して,同時性切除群と異時性切除群を比較したが,3年生存率に明らかな差を認めなかった(同時性54.0% vs 異時性71.4%, p = 0.418).異時性肝切除を施行した18例のうち肝切除前に化学療法を施行した症例は14例(77.8%)であり,全例にFOLFOX療法が施行されていた.さらに分子標的薬として抗VEGF抗体が9例,抗EGFR抗体が4例に併用されていた.化学療法が著効することで切除可能となったH3症例を3例認めた(H3は肝切除例の10%).【結語】 Stage IV大腸癌の予後を改善するには,原発巣を切除することが重要である.さらに,肝転移を伴うStage IV大腸癌に対しては切除可能な肝転移巣を切除すること,また,切除不能肝転移に対しては化学療法による腫瘍縮小効果を得た上で,タイミングを逃さず切除することが肝要と思われた.
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