演題

大腸癌脳転移症例の検討

[演者] 塩澤 学:1
[著者] 樋口 晃生:1, 稲垣 大輔:1, 風間 慶介:1, 渥美 陽介:1, 村川 正明:1, 山本 直人:1, 森永 聡一郎:1, 大島 貴:2, 益田 宗孝:2
1:神奈川県立がんセンター 消化器外科, 2:横浜市立大学医学部 外科治療学

【背景】新規抗癌剤導入に伴い生存期間が延長され,肝,肺転移の増悪による死亡のまえに脳転移を認める症例が散見されるようになってきた.【目的】脳転移症例の予後や治療について検討する.【方法】2008年5月から2015年11月までに大腸癌脳転移をきたした22例を対象.患者背景,転移状態,治療内容の評価と脳転移の予後因子の検索をCOX単変量解析にておこなった.【成績】脳転移出現してからの生存期間は5.2カ月.1年生存率は27.3%.脳転移症例の患者背景は,結腸癌11例,直腸癌11例.stageII/IIIa/IIIb,IVの順に5/5/3/9例で,もともとstageIVが多かった.大腸癌根治切除後の初回再発が脳転移である症例はなく,何らかの他臓器転移を認めた後に脳転移が出現していた.組織型は高分化6例,中分化16例.脳転移出現したstageIVの転移臓器は肝6例,肺2例,脳3例,腹膜3例.脳転移出現までに行われた抗癌剤はオキサリプラチン系使用15例,イリニテカン系使用10例,分子標的薬使用11例.脳転移出現までの転移臓器順序をみると肺転移後の脳転移出現が多く(63.6%),肝転移からの症例も肺転移をきたした後に脳転移をきたしやすい(66.7%).転移部位は前頭葉11例.側頭葉7例.後頭葉5例.小脳6例.治療は開頭手術8例,定位照射11例,抗癌剤治療3例.小脳転移は開頭手術が66.7%行われておりほかの部位より手術選択が多かった.脳転移個数は1個では開頭手術が多く行われ(53.3%),2個以上では定位照射が選択されていた.脳転移発症時の予後因子を検索すると原発巣治療から脳転移出現までの期間が長いほど有意に予後不良であった(Exp=1.001,P=0.002).【結論】新規抗癌剤使用による生存期間延長により,最終的に脳転移が出現する症例が散見されるようになってきた.脳転移出現時期が遅いほど様々な多臓器転移を併発するようになり予後不良になることが示唆された.ただし長期生存できる多臓器転移症例もいることから積極的な集学的治療は必要である.
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